主な活動場所
東京都国立市 中央郵政研修センター

 音楽の時間 6 <フォルティッシモ!!>

2020-02-15
〈フォルティッシモ!!〉

紙谷先生の【人を魅了する演奏】から載せさせていただきます。

『第Ⅱ章「空っぽでナンセンス」な演奏の原因~5.日本語と西欧の言語の根本的違いー西欧音楽の捉え方の誤り』から
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「外国人演奏家の公開レッスンでのこと」
音楽大学で外国人の演奏家による公開レッスンをした時のこと。学生たちの室内楽の演奏を聴いた先生は「楽譜には初めにmf(メッゾフォルテ)と書いてあって次にf(フォルテ)、その次にff(フォルティッシモ)となっているのに、あなたがたはなぜそうしないのですか」と言いました。実は学生たちはそのように演奏したつもりでした。「もう一度やってご覧なさい」と言われて一生懸命大げさにやったのですが「それでもフォルティッシモですか?全然そのようには聴こえません」と言われたのです。この時ばかりではなく、他のいろいろな楽器やアンサンブルの西欧の先生の公開レッスンでも、同様な指摘を何度か聞いたことがあります。どうも私達の〈強く〉の演奏方法に何か足りないところがあるようなのです。その先生が「ではmf〈メッゾフォルテ〉を言葉でメッゾフォルテで言ってごらんなさい。次に〈フォルテ〉とフォルテらしく言ってごらんなさい。次は〈フォルティッシモ〉をフォルティッシモでどうぞ」と言い、皆が試みたのですが、「いいえ、皆さんは口で言う時でさえもフォルテやフォルティッシモらしくありません。私が言いますから聞いて下さい、こう言うのです」そしてその先生が言ってみせたその声の大きさの違いに、会場の誰もがびっくりしたのです。溜息をつくような大量の息で「フォルテ!」お腹の底からの大きな太い息で「フォルティッシモ!!」。これは確かに私たちの言い方とはまるで違う!誰もがそう実感したのです。

なぜ私たちとこうも違うのだろう。私はこれをずーっと考えていて、言語との関連に思い当たったのです。私たちが普段言葉を強く言おうとすると、空気の量を変えるより発音のアタックを強くし、息のスピードを早くして硬い言い方にする。これは話す時に口の中の空気だけで話す日本語の言い方がそうさせているのです。日本語にはアクセントがないので、通常口の空気だけで喋っているのです。そしてこれが音楽の演奏でも「強く」するにはアタックを硬く強くするというやり方になる。「量」や「パワー」を変えて強くすることをしないので、パワー感が変わらず、フォルテやフォルティッシモに感じてもらえないのです。フォルテやフォルティッシモを感じさせる言い方は、胸の底からの多量の息をお腹の力で勢いよく吐き出しながら言えばよいのです。管楽器や声楽の演奏でもそうすれば「バシッ!」というより「ズシン!」とくる強さが作れる。ピアノや弦楽器でも指先や手先の力で強さを作るよりも、腕の重さを使えば「ズシン!」という強さが作れます。
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楽団でも、先生が「楽器を置いてー。口でー。」と言って、全員で「フォルテ!」「フォルティッシモ!!」と息を勢いよく吐く練習をしましたね。
そしてすぐに「次は楽器でー。」。先生の「フォルテ!」の後に先生の声に負けないようなフォルテで、「フォルティッシモ!!」に負けないようなフォルティシモで楽器を鳴らしました。
最近やっていませんね、明日の練習でやりましょうか。