東方の書籍作品を読み返す

2018-12-23
こんにちは,H.H.です.今年はほとんど部室に足を踏み入れていないので,初めましての方は初めまして.
今回は,『東方の書籍作品を読み返す』ということで,出てからそれなりに時間が経った東方の原作書籍を改めて読み返してみて,軽く紹介しつつ,気になった点や感想などを書いてみようと思いました.具体的には,『東方香霖堂』,『東方文花帖』,『東方三月精(第2部)』,『東方儚月抄』を読みました.本当はもっと読もうと思いましたが,やっぱり量が多いと思い断念しました.気づいたら沢山書籍が出ているものですね…….

 まず『東方香霖堂』です.この作品は,人間と妖怪のハーフにして道具屋『香霖堂』の店主,森近霖之助目線で語られる小説です.連載は2004年2月から始まっており,東方の小説としては初作品です.それだけに初出の設定やネタが多く,幻想郷と現実世界の関係や人間と妖怪のバランスなど東方世界の根幹を成す設定や,霊夢の服を直す霖之助やら魔理沙の実家の話など霊夢・魔理沙の掘り下げの描写もあり興味深いです. win版初期作品にある人を食ったような会話や,霖之助のトンデモ論も楽しめます.挿絵はお馴染み,唖采弦二さんです.フルカラーの少女感溢れる幻想的な絵柄もいいですが,小説中の挿絵もユーモアあり可愛さありで素晴らしいです.すまん.最近の作品にも関わる話としては,茨歌仙でも出てきた流星鑑賞の話や,『東方外來韋編』の壱で触れられている通り,純狐の能力に関わる名前の無いモノと神霊の話,茨歌仙で近しいことが言われていた,霊夢の価値観が浮世離れしているという話などがあります.
 東方香霖堂には,連載雑誌を廃刊に追い込むというジンクスがかつてありました.単行本化が遅れて,「俺達の2008年春はこれからだ!」なんてことが言われていた時期もありましたが,それももう昔の話ですね.今は『東方外來韋編』で連載されているので,そちらの連載が続いていくことを期待しましょう.

 次に『東方文花帖』です.この作品は葉庭さんによるコミカライズ,文々。新聞,アンソロジーコミック,神主のインタビューから成っています.文々。新聞では永夜抄までに登場したキャラクターが登場していて,本編以外での貴重なセリフを拝めるキャラもいるので,是非読みましょう.フランドールが登場する貴重な作品です.「きゅっとしてドカーンね」はこの作品.個人的にはこのひねくれたフランドールが好きです.貴重な女口調妹紅や,もう過去のネタですが藁人形に釘を打つアリス,水煙草を吸う霖之助も登場します.レミリアや幽々子の記事,異変自体を文の視点で見た記事などゲーム本編に関わる部分も結構あるので面白いです.『東方外來韋編』でもお馴染み,あらたとしひらさんの『やってやれ幻想郷』も掲載されています.アンソロは今見返すと当時の雰囲気が味わえて興味深いです.神主のインタビュー記事では神主のゲームに対するスタンスが語られています.ゲームと「世界観」の話,ゲーム中での「スペルカード」システムが取り挙げられていて,この頃からずっと考えられていたんだなあと改めて感心しました.文花帖のような記事形式は,求聞口授にもあります.神主が単にキャラの設定資料集を作るということをしない,「世界観」を大事にしている様子が伺えますね.

 そして『東方三月精 Strange and Bright Nature Deity(第2部)』です.光の三妖精サニーミルク,ルナチャイルド,スターサファイアから見た幻想郷の様子が描かれています.CD付き.ムチムチした比良坂真琴さんの絵柄が可愛いです.読み返すまで忘れていたのですが第2部までは魔法の森に暮らしていて,3巻で博麗神社の近くの木に移り住んでくる様子が描かれています.1巻は思ったより霊夢と魔理沙が登場していませんでした.代わりにゲストキャラが多いです(咲夜,レミリア,妖夢,てゐ,鈴仙,小町,アリス,リリーホワイト,美鈴).1巻には花映塚までの異変の話があったり,2巻ではチルノが登場し妖精大戦争に繋がる話があったりと意外とゲーム本編絡みの話があります.

 『東方儚月抄』は漫画,小説,4コマと3作品あります.漫画は主に霊夢視点でレミリアのロケットで月に向かう話,小説は各話ごとに異なるキャラの視点で掘り下げた話,4コマは永遠亭中心のまったりしたお話です.月の話なので,紺珠伝でも挙がる嫦娥の名前が登場します.静かの海やら表側の月やら,月絡みの設定を知っておきたい人には大事ですね.パチュリーの「オリジナルを尊重し そこにさらにオリジナリティを付加して残すのが 我々魔法使いの誇りですから」は名言です.依姫無双や「フェムトわかりやすく言うと須臾(以下略)」などネタにされる要素も多いですが,良くも悪くも東方らしい作品だと思います.スペルカードルールだったり,最後のオチに繋がる話だったりは正に東方らしさです.このオチを味わうためにも,漫画と小説は両方読みましょう.食べると甘いスターダストレヴァリエなど,『グリモワールオブマリサ』にも繋がるネタもあります.個人的には喧嘩するレミリアと魔理沙が可愛いです.小説版のTOKIAMEさんの挿絵もいいですね.依姫,豊姫もちゃんと可愛いです.TOKIAMEさんの絵はベルトがなんかいいですよね.小説では妹紅に対して慧音が敬語なのが印象的です.幻想郷での輝夜のスタンス,妹紅の過去話,紫が永遠亭の住人に対してどう感じているかなど重要そうな話があります.4コマは漫画・小説がややシリアス目(に感じる)ので癒しです.鈴仙はドロワ.ウサギが可愛い.フリーダムな輝夜がいいですね.貴重な綿月姉妹と永琳・鈴仙の対面も.

 読み返した全体的な感想としては,書籍でも思ったよりゲーム本編やら他作品と関わりがあるなあという点です.知れば知るほど,あーこれのことかって繋がりが見えてくる部分が多くあるので,東方の世界にはまり込んでいくのに書籍は正におすすめですね.鈴奈庵や茨歌仙など最近の作品にも繋がる設定や話が結構あるので,是非興味を持ったら読んでみることをおすすめします.


ちなみに,去年は『公野櫻子の描く「ラブライブ!」』という記事を書きました.以下いい機会なので少しだけ東方と関係のない話をします.サンシャイン‼の方は最近漫画版の連載が止まっていますが,今度小説版のコミカライズが出たり,マルのヨンコマというカラーの4コマ+モノクロの完全版という謎の構成の単行本が既に出ていたりするので,こちらもオススメします.無印の方は最近告知から数年経ってようやく「春色バレンタイン」という凛・花陽中心の小説が連載されているので興味ある方は電撃G’sマガジンを買って(電子版もあります)読むと良いと思われます.また別作品の話ですが,最近『バンドリ!ガールズバンドパーティ!』というアプリにもはまっています.アプリもストーリーが大分いいのですが,こちらも実は原案の中村航先生の小説版がありまして,この小説版がかなりオススメです.アプリやアニメとはキャラが違いますが,なんかこうロックな感じというか,熱い部分があるのでオススメです.今度単行本で出るらしいので,是非.