今日はジュウナイガツジュウサイタイナイタイです。

2017-12-17
こんにちは。クライスマスアイブまで1週間ですね。
タイトルからいきなり何語やねんという感じですが、「剤語」などと呼ばれているようです。最近のスラングで「マジ」を「マザイ」と変換したものがありますが、この呼称はそのへんに由来しているのでしょう。魔剤文化はともかく、こういう言葉遊びは大好きなので、この変換についてつらつらと書いていきたいと思います。


1. 親しむ
まずは身近な単語にこの変換を施してみましょう。
・ソウザイカイ
・マイソサイル
・ハイダライカイカイ
・カイライサメマライサ
・アイヌバサイライモマイザイ
・ウサイナイハイカレテゼンコウザイマイライ
字面に圧倒されて親しむどころではない感じがしますが、順に「掃除機」「味噌汁」「左利き」「霧雨魔理沙」「犬走椛」「牛に引かれて善光寺参り」です。


2. ルールを把握する
本記事のタイトルも同様の変換を施したものです。具体的には
・ニ→ナイ(2か所)
・シ→サイ(1か所)
・チ→タイ(2か所)
の合計5か所が置き換わっています。
要するに、
 「イ段」を「同じ行のア段+イ」にする
という変換をしています。

どうしたらこんな変換をしたくなるのでしょうか。「マジ?!」を「魔剤?!」にした人の気持ちは知りませんが、私としてはアルファベット“i”の読み方にルーツを感じます。
例えば“kite”という文字列は、
・英語として読むと/kaɪt/「カイト」
・ローマ字として読むと/kite/「キテ」
となります。(この場合は“te”のほうの読みも変わっていますが)このうちiの読み方の違いだけが言葉遊びに反映されているようです。

同様の現象は他の4つの母音でも見られるので、「ア→エイ」「ウ→ユー」「エ→イー」「オ→オウ」の変換でも同じように遊べます。とはいえ全部を採用するとコウンネイコウトウナイネイライメイシュー(こんなことになります)。個人的には「ア→エイ」がテイノサイソウ(楽しそう)。


さて、この変換ですが、解釈の分かれる部分がいくつかあります。

・「チ」→「タイ」?「チャイ」?
五十音表を優先するか、発音を優先するか、という問題です。
例えば「チ」は五十音表に基づいて変換すると「タイ」ですが、「チ」の発音/tʃi/に基づいて変換するなら/tʃaɪ/「チャイ」となります。同様の問題は「シ」「ジ」「ニ」「ヒ」でも発生します。

・「チャ」→「タイャ」?
前掲の問題で五十音表を優先することにすると、この変換は《発音された言葉》ではなく《文字表記された言葉》に対する処理になります。すると、「チャ」の「チ」を「タイ」に変換するか?という問題も発生します。

・「ザイ」→「ザアイ」?
はじめから「ア段+イ」の形になっている部分を更に「ア段+アイ」を変換するか、という問題もあります。
変換するかしないかのみならず、縮約する(逆向きの変換を施し、「ザイ」であれば「ジ」にする)という可能性もあります。

上記3点の問題ですが、本記事では「よりややこしくなるように」という方針にします。ややこしくというのは、元の言葉を推測するのが難しいように、ということです。


3. ややこしくする
この言葉遊びをしていると、色々な面白い変換に遭遇します。
例えば「未来」「時代」を変換すると、「マイライ」「ザイダイ」となり、「○イ」が繰り返される形になります。このような形になる言葉で出来るだけ長い言葉を探そう、という遊びが行われています。
そんな中で発見された言葉には、以下のようなものがあります。元の言葉が何だか当ててみてください(答えは記事末尾に)。
(1) アイアイガイライ
(2) カイカイカイカイ
(3) サイタイアイカイザイ
(4) アイカイザイバイカイ
和語も漢語もあります。四字熟語や複合語だったりもします。(3)の完成度がすごい。
更に、このような言葉をうまく使って、「○イ」が繰り返される文章を作ってみる試みもあります。
(5) マイナイタイカイマイナイアイタイ
(6) アイタイナイタイナイカイタイナイカイカイ
(7) ダイタイアイタイナイタイアイナイナイカイガイサイタイ
使える助詞が「に」だけだったり、願望の「たい」が使われがちだったりします。(5)は百合。

要するに「イ段」と「ア段+イ」がひたすら繰り返される言葉や文章です。自分で発見できると嬉しいし、人が発見したものを解読するのもなかなか楽しいですよ。

私の周囲での流行は上記のような遊びですが、他にも言葉遊びを考えられます。
例えば、「海外」「木々」「会議」「気概」といった言葉を変換するとどれも「カイガイ」になります。そこから「カイガイのカイガイに関するカイガイに向けてのカイガイ」という文章を作れます。同音異義語がより広範になったようなものです。「(8)カイシャのカイシャがカイシャでカイシャした」ですね。上手く作れないと「(9)アイマイがアイマイになる」ので難しい。
また、先ほどちらりと触れた縮約(「アイ」→「イ」の逆変換)も織り交ぜつつ遊ぶ人もいます。逆変換では「ダイ」→「ヂ」と変換するのか?といった問題も発生するのでまた面白くなってきます。


4. 終わらいない
本記事は、GUTアドベントカレンダー2017企画にて書いたものです。様々な題材の記事が並ぶ中、こんな記事をここまで読んでいただきありがとうございました。今日は12月17日です。執筆はみのでした。
……この見出しだと、終わるのか終わらないのか分かりにくいですね。



答え(別解もあり得るので発見したら自慢してください)
(1) 居合い斬り (2) 奇々怪々 (3) 死体遺棄罪 (4) 生き字引
(5) 毎日君に会いたい (6) 1日2回胎内回帰 (7) 大体1日以内に会議したい
(8) 貴社の記者が汽車で帰社した ……同音異義語の有名な例文です。
(9) 意味が曖昧になる