雨とガスの北鎌尾根縦走

2018-08-16
日 時:平成30年8月11(土)~14(火)
メンバー:マングース(リーダー)、クリンさん+はむくん(途中別行動・サポート役)
参考コースタイム:
前夜(8/10)大阪発 平湯・あかんだな駐車場にマイカー駐車
【1日目・8/11(土)】
シャトルバスにてあかんだな駐車場から上高地へ移動
上高地(6:23発)~明神(7:08着、7:16発)~徳沢(7:58着、8:08発)~横尾(8:57着、9:12発)~槍沢ロッジ(10:23着、小屋泊)
【2日目・8/12(日)】
槍沢ロッジ(5:40発)~大曲(6:25着、6:31発)~水俣乗越(7:21着、7:41発)~<北鎌沢出合(9:30)~貧乏沢出合付近~北鎌沢出合(10:55)この間1H25Mの時間ロス>~左俣・右俣分岐(11:10着、11:33発)~北鎌のコル(14:00着、14:20発)~天狗の腰掛(15:30着、テント泊)
【3日目・8/13(月)】
天狗の腰掛(6:23発)~独標トラバース開始地点(7:08)~P10独標(8:07着、8:25発)~P13(9:20)~P15と北鎌平の間のコル(10:52)~槍ヶ岳頂上(12:20頃着、12:35頃発)~槍ヶ岳山荘(12:50頃着、13:30頃発)~槍平小屋(15:30頃着、小屋泊)
【4日目・8/14(火)】
槍平小屋(6:20発)~滝谷出合(7:05着、7:10発)~白出沢出合(8:10着、8:25発)~新穂高温泉(9:45着)
路線バスを乗り継ぎ、あかんだな駐車場へ


【8月11日】上高地~槍沢ロッジ
前夜から出発しあかんだな駐車場に到着。バスにて上高地へ向かう。上高地は人が一杯。
ひたすら平坦な道を進み横尾に到着。ここでハムさんは涸沢に。しばしのお別れです。「槍の頂上で待ち合わせましょう!」かっこええやんww
本日のお宿である槍沢ロッジは、予想通りの超満員(-_-)
私達は早く着いたのでスペースが確保できましたが、遅くなると廊下まで寝ていました(^-^; あれはいややな~
マングース会長は速攻お昼寝。私はまだまだ時間があるので散策へ。
槍を見に登ったのですが、ガスで槍は拝めず天狗原分岐点の近くまで行き引き返す。
明日見れたらいいな~


【8月12日】槍沢ロッジ~天狗の腰掛
今日のハード山行にのため、朝ご飯は山盛りご飯2杯食べいざ出発!
大曲~水俣乗越までの登りがかなりハードでしんどい&虫攻撃でイライラ(´Д`)
前を進むマングース会長は虫も追い払わずもくもくと歩く。「さすがベテランやな~」と感心する。
水俣乗越でお天気を確認。サイトによってお天気が違い悩む。
行ってしまうと引き返せない場所・・・どうしよう。
小雨やガスはあっても、荒天ではなさそうなので行くことにする。
天上沢から北鎌出会までの激下りが始まる。「あ~これを下るんや・・・そしてめっちゃ登るんや・・・しかも歩荷で・・・」気が重い(´Д`)
歩きにくいザレや浮石に気を付けながら進む。そろそろ出会のはずなのに北鎌沢への登り口が見当たらない。しかも会長が転倒され脛を強打される。心配したが打撲で済んだとのことにてホッとする。
登り口はどこ?と更に下降し、渡渉や藪漕ぎする。「これはおかしい」と会長。GPSや地図で確認しながら、行き過ぎたと判断し戻ることに。ここでかなり精神的・体力的に消耗。「戻ってみて、登り口がなければ天上沢を登ってリタイヤやな。」と思いながら進むと「あったで~」と会長の声。
ほんまや!説明書通り岩の上にケルンがあって、沢が直線的に稜線に突き抜けているのが見える。「なんで見逃したんやろ」と思うくらい・・・きっと下を見て歩いていたんやろから気付かなかったんでしょうね。あ~よかった。
少し上がると分岐点があり、2日分の水を補給する。いきなり4キロの水が肩にのしかかる。歩荷が大の苦手なので気が重いよ~
ここから右俣に入り、640mの地獄の登り・・・ザックの重みで思うように進まない。浮石や登りにくい石が多く体力がどんどん消耗される。救いは曇り空であったこと。これで炎天下やったらどうなるんやろ?と恐ろしい・・・
最後の登りは右に行かないと聞いていたので、左側に入ったが、最後の直登でトレースがなくなり「おかしい」と思っても引き返せない。ソロの方も来ていて、3人でとりあえず行けそうな所を登り稜線まで行く。草を掴みながら、「やばい。やばい。すべる~」と思いつつ登った。
なんとか稜線に出ると、北鎌のコルから少し離れている場所であった。やはりどこかで間違えたんだろう。
北鎌のコルでしばらく休憩し、ソロの方とお話しする。ソロの方も本日は天狗の腰掛で幕営予定とのこと。明瞭な踏み跡を辿りつつ、痩せ尾根を歩き天狗の腰掛に到着。あ~しんど。着いて良かったしかない。会長さんがコーヒーを入れて下さりホッと一息つく。めっちゃ美味しい。
硫黄岳・裏銀座・表銀座・そして明日行く独標が見えている。ガスが生き物のように美しく漂っている。来たものにしか見れない景色。至福のひと時。
19時頃より雨になるとの予報にて夕食を済ませ、テント内へ。
予報通り雨が降り始め、雷が鳴り響く、風も強い。横に会長さんがいてるので不安も少ない。私は雷が鳴るたびにびくびくしているのに、横で動じない会長をみて「さすがベテラン」と感心する。
夜中に外をみると満点の星空。明日の好天に期待する


【8月13日】天狗の腰掛~槍ヶ岳~槍平小屋
朝になるとガスと小雨。たまに青空が覗くので天候の回復に期待する。
朝ご飯を食べて準備しているとソロの方が横を通られる。お互いの無事の踏破を願う。
テント撤収時にアクシデント!空になったテントが風で吹き飛ばされました(>_<)えらいこっちゃ!もう取りにはいけません・・・すいません・・・

そんなこんなのアクシデントがありましたが、本日は北鎌尾根の核心部を歩くので気を引き締めねば!
天候は全く回復せず、小雨が降り続く。会長のルートファインディングは的確。滑る石に気を付けながら進んでいく。
独標近くなり、天候が悪いのでトラバースルートを選択したが、このルートが行けそうにないと判断し、再度独標の基部に戻り直登する。独標もガスのなかでは大きな岩にしか見えない。親子の雷鳥を見て癒され元気が出る。
そこから、ハイライトの槍ヶ岳への稜線歩きだが、全く何も見えない。会長の背中を見て黙々と進む。安定しない足場・岩をへつり登り・・・今迄の沢登りや雪山での経験が生かせた。一歩間違えると大けがは免れない場所。引き返せない場所に来ている。手に汗握りただ進んだ。前から思っていたが、3000m近くなると息が切れる。吐き気や頭痛はないので大丈夫であるが、息を乱さないように気を付けた。

いつの間にか、槍の直下に来ていた。会長が「槍やで」とプレートを指さす。
「え!ここ???」北鎌平は通り過ぎたんかな???
見上げても槍の姿は見えない。
ここでハムさんへ連絡し、槍ヶ岳山荘にていらっしゃることを確認。頂上にて待ち合わせとなる。(最初ハムさんは「寒いし景色見れへんし頂上にはいかへん。」と言っていたが、「来なさい!」と言いましたww)

最後の核心である、槍の頂上に向かうチムニーは岩が滑って怖かったが、なんとかクリア。
頂上より「マングースさ~ん。くりんさ~ん。」とハムさんの声が!!
めっちゃ嬉しかったです!! 今回一番嬉しかった瞬間です!
本当は3人で達成したかった。でもこうして無事再会できて本当にうれしかったです!
感動の再会をしたのも束の間、ガスでなんも見えへんな~と言いながらそそくさと下山。
槍ヶ岳山荘にてエネルギー補給。

ここから、槍平小屋まで雨の中下山。疲れが溜まっているのでしんどくて仕方ない。
「まだ??まだ??遠いわ~」と言いつつ到着。雨で冷えた身体・疲れた身体には小屋が本当にありがたい。
人も多くなく、快適に過ごす。

夜中起きると満点の星空。外に出ると流れ星が!☆彡
どんどん流れるので「10個数えたら部屋に帰ろう」と変なルールを作り数える。なかなか流れないが10個見れたので、また部屋にもどり寝た。


【8月14日】
朝になると快晴!「あ~このお天気が昨日やったら(´Д`)」といつまでもクヨクヨ・・・「そんなん思いませんわ~今日はええお天気で良かったな」とハムさん。
私の性格って・・・(>_<)
さ~あとは下山して温泉温泉♬ 4日間の垢を落とすぞ~
と歩くのですが、4日間の疲れにて足取りが重いよ~ ザックは軽いはずやのに重いよ~
といいつつなんとか下山。
帰りのバスにて、横に座った女の子に「臭いでしょ~ごめんなさい・・・」と心の中で謝る。
平湯の森にて汚い臭い身体をさっぱりさせ、大阪までの帰路。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡

【感想】
会長さんにお誘い頂き、岳人憧れの地である北鎌尾根に行きました!
まだ山をやり始めて2年目なのに行っていいものか?とかなり悩んだのですが、このような機会はなかなかないと思い行ってみることに。
行ってみると、やはり今迄の山行のなかでも一番しんどく一番怖かった。

北鎌の出会~北鎌のコルまでの重い荷物を抱えての登り、そして足場が悪く気を抜ける所がない。2日目の天狗の腰掛~槍までの道のりは滑る岩・ガスの中のルートファインディング。落石・浮石の連続・・・

思い出しただけでも「よく生きて帰ってこれたな~」と思うばかり・・・
ほんと疲れた。「なんでこんな事してるんやろ。もうあかん」と思ったけど、行ってしまったら引き返せない。山は自己責任。誰にも迷惑かけれない。と思いひたすら前に進んだ・・・

一歩一歩前に進めば必ずゴールは来ると信じて進んだ。会長さんの背中を見て会長さんの大変さも感じた。道迷い、荒天、転倒による脛の強打と腫れ、吹き飛ばされたテント等々アクシデントの連続。きっと私をリードするのに私よりも何十倍のプレッシャーを感じていらっしゃるのでしょう…
はひたすら「もう無理とかダメとか思わない!」ということばかり思っていました。ご迷惑はかけれないので。それしか出来ませんでした…

景色もなくひたすら進むと、急に目の前に槍の姿が!
ガスで見えないので、目前のプレートがでるまで気付かなかった。
「えっ!着いたの??」拍子抜けの最後でした。
チムニーの手前で、昨日お会いしたソロの女性と再会。無事の再会に喜んだのですが全くの空身‼️驚いて聞くと、3メートル程滑落し、ザックの重みで身体が引き上げられず、ザックを下しロープで結んだが外れて落ちていってしまったどの事(゜ロ゜)
それからは雨水で口を潤しながらなんとかここまでやって来たとの事でした。
水と行動食をお渡しし、とにかく無事で良かったとお伝えしました。

今思っても、何が楽しくて山に行くんやろ?こんなしんどくて怖い思いしてもなんで行くんやろ?
山の魅力ははかりしれませんね。

今回は会長さんのルートファインディングによってなしえた山行でした。
いつも「そこ滑るよ。」「浮石に気を付けて」など気にかけてアドバイスして下さりました。ほんとうに感謝の気持ちばかりです。
終わってから小屋で会長さんから、北鎌尾根は奥穂~西穂、北方稜線に続き山岳部であった高校生時代からの暖めていた場所であると聞きました。そして最後の目標の地、そんな機会にご一緒させていただき、パートナーが私で良かったのか複雑な思いです…

踏破できてほんと良かった。次回は絶景を眺めてみたい。

ってまた行くんかい~www


☆彡天狗の腰掛にて


☆彡気の抜けない場所が延々と続く


☆彡最後の核心チムニーを登る