主な活動場所
飯能市市民活動センター

 掌風

2018-09-14
ないものにも掌(てのひら)の中の風がある
あるものには崩壊と不足しかない
ないかと思えば、すべてのものがある。
あるかと思えば、すべてのものがない。
オマル・ハイヤーム作
「ルイバート」より

友田先生が著書の中でよく引用した詩の一節である。ものにあふれかえった日本にとってこの一節は心に響く。ものや人を手にいれたたらその後に待っているのは崩壊と不足だ。だけどそもそもないものには掌の中の風があるだけだというのである。風はどこにも吹かれてどこへもいく。融通無碍が風の世界である。

メンタル疾患を患うと人やものを失ったと感じることが多い。あるものがなくなると喪失感で胸がしめつけられる。しかし、ないことで開けてくる世界がある。掌の中の風は融通無碍に姿をかえられる。どこにも行ける。

あるかと思えばすべてのものがない。ないと思えばすべてのものがある。

どちらが幸せだろう。「ないと思えばすべてのものがある」とはなんと豊かな世界だろうと思う。