バイクの魅力を考えつつ乗車体験を行う授業
2025-01-24
2025年前期に京大で、バイクの魅力を考えつつ、オフロードバイクのパークで乗車体験(免許を持っていなくても可)を行う授業を開講することになりました。「ILASセミナー」という、基本的には1回生向けに体験型の授業等を提供する枠で行うのですが、2回生以上の履修も可能にしています(学部の制限はなし)。
初めての試みなので、やってみないとわからないことが多いのですが、翌年度以降も続けていく予定です。
人数制限がありますが、京大の学部生で興味がある人はぜひ履修してみてほしいです。
以下は、シラバスの情報を抜粋したものです。
[科目名]
バイク(自動二輪車)の魅力を科学する——理論と実習
The Science of Motorcycle Experience: Theories and Practice
[授業の概要・目的]
我が国は世界有数のバイク(自動二輪車、オートバイ)大国であり、日本のメーカーが欧米でも大きな市場シェアを占めるとともに、国際的なレースの舞台でもHONDAやYAMAHAのバイクが圧倒的な強さを見せてきました。また、2020年代に入り再び「バイクブーム」が到来しており、若い世代のライダーも増加しつつあります。
ところが、交通工学や交通政策の分野では、バイクは「マイナーな乗り物」という扱いを受けています。クルマや鉄道や自転車に比べて、バイクを対象とする学術研究は遥かに少なく、バイクという交通手段の特性について学ぶ機会も多くはありません。
そこでこの授業では、バイクがどのような乗り物であるかについて基礎的な理解を得るために、講義、ディスカッション、乗車実習を組み合わせた総合的な学習を行います。
担当教員による講義では、ライダーの心理、バイクの安全性、環境への影響などに関する最新の科学的な知見を学びます。また、バイク乗りを描いた映画を題材にして、学生・教員間でディスカッションを行うことで、日本や欧米のバイク文化について理解を深めます。さらに、学外の専用コースで実際にバイクを運転する実習を行い、乗車体験に関する分析と考察を行います(専用コースのため運転免許は不要。乗車実習に参加しない履修者は別途課題を与える)。
[授業計画と内容]
1.バイクの科学
担当教員の講義により、バイクに関する科学的な知見を学びます。
・バイク乗りの心理的特徴(価値観、性格、メンタルヘルス)
・バイクの危険性と安全対策(バイク事故の特徴、安全技術のトレンド)
・バイクと環境問題(規制の動向、EV化のインパクト)
2.バイクの文化
バイク乗りを描いた映画を視聴した上で、ディスカッションを行い、バイク文化に対する理解を深めます。
・バイクはなぜ熱狂的に愛されるのか(参考映画:『Why We Ride』)
・バイクでの「旅」に憧れる人々(参考映画:『団塊ボーイズ』)
・モータースポーツの文化(参考映画:『FASTEST』)
・反体制文化の中のバイク(参考映画:『イージー・ライダー』)
・暴走族とバイカーギャング(参考映画:『ゴッド・スピード・ユー!BLACK EMPEROR』)
3.バイク乗車実習とその分析
学外の専用コース(ライダーパーク生駒)にて、2時間×3回のバイク乗車実習を行い、準備時間を含めて6回分の出席とみなします。学外実習のスケジュールは、履修者の他の授業との兼ね合いなどを考慮して、相談しながら調整します。
乗車実習では、基本的な操作について専門のインストラクターによる指導を受けながら、簡単な走行練習を行います。バイクの車両やヘルメットなどの装備は、レンタルすることができます。運転免許証は必要ありませんが、自転車に乗ることができる学生に限ります。
乗車後は、疲労ストレス計測器等を用いて、バイク乗車が身体や心に与える影響を分析します。また、乗車体験を通じて学んだことについて、後日プレゼンテーションとディスカッションを行います。
※なお、自転車に乗れない等の理由で乗車実習に参加しないことも可能で、その場合の別途課題については授業内で指示します。