公野櫻子の描く『ラブライブ!』

2017-12-12
こんにちは。H.H.です。GUTでまとまった文章を書くのは久しぶりで、文章を書くのも面白そうだと思って企画に参加しました。今日は私がここ数年一番嵌まってしまっているジャンル、『ラブライブ!』について書いていきます。アイマスについて書いている方が居るしいいよねと思って題材を決めました。説明の都合上、やや不正確な記述も見受けられると思いますがご容赦ください。


まず作品の概要を説明します。『ラブライブ!』は、9人の少女たちが「スクールアイドル」として学校内でグループを結成してアイドル活動を行う様子を描いた作品です。無印ではμ‘sというグループが統廃合になりそうな学校「音ノ木坂学院」を救うことを目的とし、サンシャインではAqoursというグループがキラキラ輝くスクールアイドルになることを目的としてアイドル活動を行っています。「スクールアイドル」という一般的なアイドルとは異なる形態でアイドル活動を行っているので、アイドルものというよりは部活ものに近い気がします。
『ラブライブ!』については、リズムゲーム、楽曲、アニメ、ライブなど様々な形で耳にしたり、触れてみたりしたことがある方が多いのではないかと思います。『ラブライブ!』はこのように様々なメディアで展開するコンテンツですが、メディアによって物語の雰囲気やキャラクターの性格が異なっています。私が特に嵌まっているのは、題にもあるように原案の公野櫻子先生が描く『ラブライブ!』の世界です。メディアでいうと、月刊のアニメ雑誌である「電撃G’s magazine」や小説「School idol diary」(以下G’s、SIDと略します)などに掲載されているキャラクター視点の文章の(恐らく)全てと、漫画版が当てはまります。基本的には、アニメやスクフェス、ドラマCDなどの音声が付いたもの以外の文章全部と思ってもらえればいいと思います。今回はこちらについて紹介していきたいと思います。(以後、公野櫻子先生が描くものを公野版と呼ぶことにします)。


公野版の『ラブライブ!』の世界は、メンバーの視点で断片的に語られます。小説は短編ですし、G’sではメンバーのスクールアイドル活動や日常の様子が少しずつ描かれています。全てが時系列に沿って描かれるわけではなく、(たとえば、G’sでは発刊される時期に合わせた様子が描かれるので、サザエさん時空みたいになっています)特にG’sで掲載されるのは版権絵+ちょっとしたコメントみたいなもの、という形式が多いので出来事に想像の余地が多くあるというのも面白い点です。また、メンバー視点の地の文が多く、メンバー同士の会話がそれほど多いわけではないので、絡みが少ないメンバー同士がどのように絡んでいくのか少しずつ明らかになっていくのが面白いという面もあります。

公野版の『ラブライブ!』の特徴の一つは、メンバーの内面や日常の話などの話が中心だという点です。メンバーがどうしてスクールアイドル活動をしているのか、何を考えて活動しているのかといった内面の話を知れば、キャラクターのことをもっと応援したくなると思います。私が好きなエピソードとして、南ことりSIDの「ずっといつまでも。」を紹介したいと思います。このお話は、学院近くの洋品店が廃校に合わせてお店をたたもうとしていて、それに対して穂乃果・ことり・海未の2年生組がどうにかしよう!と考えるお話です。アイドル活動で頑張る!というお話ではありませんが、大事な場所を守りたいと思いお店で買い物したり地道な宣伝を行ったりと頑張る穂乃果の様子や、それに引っ張られて何かできるんじゃないかと希望を持って行動することりの心情にほっこりするエピソードです。サンシャインでも、統廃合が決まってしまった学校にもスクールアイドルが居たということを記憶に残したいと思うメンバーの心情が時折描かれます。公野版では、廃校とそれに対するメンバーの心情がしっかり描かれているのが面白いと思っています。

もう一つの特徴として、百合っぽい要素も結構あるという点です。これは具体例を挙げたいと思います。「ね、真姫ちゃん――女の子同士っていいよね?」(School idol diary~μ‘sの夏休み~「花火の夜に。」より)、「わたしは絶対に海未ちゃんってアイドルに向いてると思うよ。こんなに――すてきで、こんなにかっこよくて、こんなに凛々しくて――なのに、こんなにかわいい人って、きっと世界中で海未ちゃんだけだもの。海未ちゃん、だーいすき♡今度のことりが作る衣装、楽しみにしててね!」(海未SID「適材適所ということは。」より)という台詞だったり、文化祭でロミオとジュリエットの劇をやったり、幼なじみを父親のような気持ちで見守ったり、常勝の幼なじみの負けて悔しがる姿が見たいと「マケミちゃん」人形を作ったり、いなくなった自分を泣きながら探してくれている幼なじみを見て嬉しく思ったり、2人の幼なじみのどちらと結婚したいかと訊かれ2人に結婚してもらって2人の赤ちゃんになりたいと回答したりなど百合に繋がる要素はたくさんあります。現在G’sで連載しているものでも、「Our Private Life」ではAqoursの中から2人のメンバーがどういう関わり方をしているのかが垣間見え、「μ’sからのラブレター」ではラブレターと称して2人のメンバーがイチャついている様子が描かれているなど、供給は多分にあります。


とにかくお伝えしたいのは、『ラブライブ!』はアニメや楽曲や声優のライブだけじゃない!ということです。他のメディアと異なり派手な展開やドラマチックな展開があるわけではないですが、心温まるような、微笑ましいような、見守りたくなるような良さがあるのが公野版の『ラブライブ!』だと思っています。この記事を見て興味を持ったら、是非公式サイトのBlu-rayのページやcomicwalkerで試し読みをしていただければと思います。今だったらニコ静のベストヒットG’sなどでも少し漫画版が読めます。推しのμ‘sのメンバーが居たら、是非その子のSIDを読むといいと思います。お薦めのSIDは、海未、ことり、にこです。サンシャインの方は朗読動画とかボイス付きメッセージも公式サイトの動画の欄を探せばあるので、是非。公野版はいいぞ、ということでした。
私もまだ読めていないのですが、公野櫻子先生は『ストロベリー・パニック』の著者だそうです。今度探して読みたい。