主な活動場所
愛知県一宮市を中心に動物介在活動、動物介在教育を実施しているボランティアグループです。

認定活動犬とハンドラーのペアで、高齢者福祉施設、障害者支援施設、教育現場を訪問しています。

 学びのポーランド!(byひがき)

2022-07-19
海外への渡航規制が緩和され、3年ぶりの海外セミナーに行ってまいりました!
今回参加したのは、ヨーロッパで毎年実施されている動物介在介入(AAI)キャンプ。主催はポーランドに拠点を置くAAI教育団体、stowarzyszeniezwierzetaludziom と、ノルウェー拠点のAAIコミュニティ、ICofAです。

AAIで参加する犬の社会的学習スキルを重視する研究者、実践者増えるなか、Do as I Doドッグトレーニングを取り入れる団体は増加しています。その為、2022年のAAIキャンプにおいて、1日セミナーをワルシャワ大学にて、2日間のAAI実践者を対象としたワークショップに講師として招致して頂きました。

とにかく、現地で感じたのは、このドッグトレーニング法に対する熱量!主催者が受け付けを制限するほど参加者から多くのご質問をいただき、興味の高さが伺えました。一番心にのこっているのは、同時通訳をしてくださったお二人。最初の休憩時に駆け寄って下さり、「20年以上この仕事をしてきたが、こんなに楽しい通訳をしたのは今日が初めてだ」と仰ってくださいました。その後も休憩の度に質問に来てくださり、「私は猫4頭と暮らしているが、猫もできるのか?」とか、「なぜ、参加者の人たちは犬をもっと褒めないんだ?」とか、参加者以外でもこんな興味をもって下さることに驚くと同時に、とても嬉しくなりました。
2日間のワークショップでは、20頭ほどの犬人ペアが参加し、どのペアもたった2日間で素晴らしい学習の成果を果たしました。子犬も数頭参加しており、ワークショップの合間に子犬の社会的学習アプローチもレクチャーすることができ、盛沢山の濃い内容の3日間でした。主催者から、また参加者から沢山の嬉しいフィードバックをいただき、私自身とても満足しております。

また、今回キャンプに参加した目的の一つはPADA(Personality Assessment for Dogs in AAI)、AAIで活動する犬の性格評価、について学ぶことでした。急遽PADA評価者のトレーニングに参加させて頂けることとなりました。10頭ほどの実試験に携わらせていただき、空港へ向かうギリギリまで勉強会に参加させて頂きました。一宮AAEドッグクラブではセラピードッグ適正試験を10年近く、改善を重ね、実施してきました。そして、これからも継続されます。このPADAテストは犬自身、犬の性格がAAIの活動に適しているかどうかを評価するものです。人のハンドリングや介入・サポートの技術を一切評価しません。当クラブでのPADA導入の理由は、AAIで活動する犬の福祉を、科学的根拠に基づく評価法を用いて守ることができると考えるからです。国内外を問わず、セラピードッグ適正試験とされるものの多くは、ハンドラーと犬を同時に評価する内容となっています。しかし、本来は、適性がある犬だからこそ、AAI活動に向けたトレーニングをはじめる、という順番であるはずです。TVアイドルの仕事をするのに本当は適した性格でないのに、スピーチ、歌や踊りの練習を経て、オーディションに参加させる⇒落ちる、もしくはいきなりTVプログラムの現場に放り込む⇒トラウマ、というのは本人がかわいそうです。人間なら嫌と言葉で伝えられるかもしれませんが、犬は言えない。この犬ならAAIの現場で無理なく、楽しんで活動できる、という評価をまずPADAで得ることで、オーナーさんも労力を無駄にすることもなく、指導する私たちも安心してトレーニングを継続することができます。
また、犬の場合、信頼するオーナーさんがハンドラーとして常に近くにいる、励まし続けてくれるから、(おやつがもらえるから)、AAI現場の空気に耐えてしまう、という現場に多く立ち合ってきました。この“耐えてしまう犬”に気づけないオーナーさん、指導者、は本当に多いです。そのケースにおいても、PADAは既に活動をしている犬たちの福祉を守ることに役立ちます。



ノルウェーのPADA評価チームの話では、計画的な犬のブリーディングにおいてもPADAは使われるそうです。繁殖する犬の性格評価をすることで、組み合わせや、個体が目的に沿った繁殖に適しているかを評価するツールとなっているそうです。日本でも、AAI適正が評価された犬同士の繁殖が実施されるようになったなら、より安全なAAI実践が可能となり、広く導入されるようになるのかな、と期待しています。
と、みっちり知識を伝え、知識を詰め込んできた一週間でした。すでに、一宮AAEドッグスクラブのメンバーはこのPADA実施に向けて動き出しています。クラブから4名の評価者チームが、来月からPADAコースで必要な知識を得るべく勉強をはじめます!
夏の終わり頃には、第一回目のPADA試験への参加を公募できることを目指します!
これからも一宮AAEはより良い活動のために改善を続けます。
皆さま、応援どうぞよろしくお願いいたします。

代表 檜垣 史