薬物析出に炭酸緩衝液とリン酸緩衝液が与える影響

2024-05-09
薬物析出プロファイルに、炭酸緩衝液とリン酸緩衝液が与える影響を比較しました。

Drug Crystal Precipitation in Biorelevant Bicarbonate Buffer: A Well-Controlled Comparative Study with Phosphate Buffer

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.molpharmaceut.4c00028

pHシフト試験やSolventシフト試験は、医薬品開発において析出試験として広く用いられています。従来は、リン酸緩衝液が使われていましたが、今回、炭酸緩衝液(BCB)とリン酸緩衝液(PPB)が与える影響を比較しました。

結果、pKa < pH (酸性薬物)およびpKa > pH(塩基性薬物)の場合、BCBとPPBでは、大きな差がありました。理由については、論文中で詳しく考察していますので、是非、ご拝読いただければと存じます。

結論として、析出試験においても、炭酸緩衝液を使用すべきと考えられました。

また、ガスバブリング法では、その刺激により析出が人為的に加速されてしまう可能性があることも、今回明らかにしました。

落し蓋法は非常に簡便で応用範囲が広いので、是非、医薬品開発の現場でご利用いただければと存じます。

今月開かれる薬剤学会でも、炭酸緩衝液について、多数発表しますので、是非、ご来場いただければと存じます。