剱岳Ⅵ峰Cフェイス剣稜会ルート~八ツ峰上半縦走

2025-07-11
★日程:7月11日~13日
★メンバー:Tさん(L)・クリン(記録・食料)
★CT:
【7/11】(8:30)室堂→(12:30)剱沢幕営地泊
【7/12】(4:10)剱沢幕営地→(5:15)長次郎谷→(7:50)5.6のコル~Ⅵ峰Cフェイス取り付き→(11:00)クライミング5P終了 Cフェイス頭→(13:45)八ツ峰の頭手前より長次郎谷にての下山開始→(18:00)剱沢雪渓→(20:20)剱沢幕営地
【7/13】(7:20)剱沢幕営地→(11:10)室堂

★記録
3年前にTさんと、池ノ谷ガリーから北方稜線を経て剱岳に登った。その際に見えた八ツ峰がとてもカッコよくて・・・
「いつか登りたい!」と思っていた場所に行くことができた。
長い記録になりますがよろしくおねがいします。

【7/11】晴れ一時ガス
立山駅7時発のケーブルカーとバスを乗り継いで、室堂着。本日は剱沢までなので気が楽。重荷を担いでゆっくりと歩を進める。
お天気が良いのは嬉しいが、とにかく暑い・・・日差しがきつく日傘を使用。
雷鳥沢から剱御前小屋までの登りがきつくて長い。Tさんはマイペースに行ってしまう。最初は「待って~置いてかないで~」と思っていたが、そう思うことに疲れてきた。「ソロで来ていると思うことにしよう」と気持ちを切り替え、他の方とおしゃべりしながら進んだ。
昼過ぎには幕営地着。ゆっくりと時間を過ごし、早めの就寝。

【7/12】快晴
4時起床5時出発と言い続けるTさんを説得し、3時起床4時出発。
長次郎谷までの雪渓はノーアイゼンで進む。途中源次郎尾根に取りつこうとしてる4人組Pがいた。
長次郎谷にてアイゼン装着。本日はアタック装備にて足が軽い。
長い長い長次郎谷を詰めあがる。5.6のコルより、ABCフェイスが見える。Cフェイスの取りつきに到着後クライミング装備を整える。他に誰もおらず静か。
『Cフェイス登攀』
1P(Tさんリード):シュルンドの中に入り登攀開始。出だしが非常にいやらしく「ここかな?」と思われるバンドがあるが、足が決まりにくくフォールしそう。ちょっと奥に進み雪解け水で濡れながら傾斜の緩い場所より登攀。左リッジ上のテラスでピッチを切る
2P(クリンリード):リッジに絡んでハイマツの間を登る。
3P(クリンリード):フェースを左上するのが正規ルートであるが、右上しハイマツにて支点を取りつつ進むとRCCルートに入ってしまった。ザイルが足りなくなり、仕方なくひとり立てるのがやっとの小さなテラスのハーケンにて支点構築。ここでピッチを切る。
4P(Tさんリード):RCCルートをトラバース気味に進み、左上。
5P(クリンリード):右側に進みCフェイスの頭到着。
クライミング技術的には容易であり、どこでも登れる快適なルートであった。
Cフェイスの頭にて11時になった。まだまだ先は長い。Tさんより上半縦走は辞めて、このまま長次郎谷下山の提案あったが、せめて上半は登りたい!とお願いする。
ここからの上半縦走はフリーで登る。浮石が多く、ひやっとする場面も多い。懸垂ポイントが要所要所にあり、懸垂を何度もしながら進んだ。
疲れているが、絶景の中憧れの八ツ峰に登れ、最高の気分である
Ⅷ峰にてすでに14時前・・・ 〇長次郎谷にて下山 〇本峰より別山尾根で下山 どちらにしようか悩む。上から長次郎谷を見て谷での下山を決定する。
長次郎谷のシュルンドに向けて2P懸垂下降。
シュルンドより、雪渓に上がりザイル確保にて雪渓をクライムダウン。
一部クレバスがあるため、慎重に下降。クレバス手前でスノーブリッジがある場所までトラバース。スノーブリッジに足をかけた際にブリッジ崩壊!!身体がガクンと落ちてクレバス内で宙ぶらりんとなってしまった。ザイル確保のお陰で事なきを得たが・・・
本当にびっくりして手足が震えた。Tさんの適切なビレイのお陰で大して落ちず、すぐに復帰することができた。
そこからも慎重にクライムダウン。ピッケルとアイゼンを効かせる。雪で手の指がしびれるがそんなこと言ってられない(現在、私の指はあかぎれと霜焼け状態)
なんとか、ちょっと良い場所について体勢を整える。
次いで、Tさん下山開始。スノーブリッジはまだあるが、とても脆いので気を付けるよう声かけ。Tさんがスノーブリッジに足をかけると穴が開いたらしい。しかし崩壊までは至らずなんとが進むことができた。
その後も確保しつつ雪渓を下山。
しかし・・・目の前には大きなクレバスが何層を見えた('Д')
クレバスは確実に雪渓を断裂しており雪渓にての下山は不可能。
「どうしようか?」と悩んだが、右岩壁から懸垂しながらシュルンドを渡り進むしかないと判断。
「シュルンドに降りてから進めなかったらどうしよう?」「シュルンドから抜け出せなかったらどうしよう?」「クレバス地帯から抜け出せなかったらどうしよう?」色々な不安が頭をよぎる。Tさんに聞くと「分からん。行ってみて考える」と。そやな、現地をみて考えるやな。
岩壁に取りつくと、一応懸垂下降できる支点を発見。
Tさんリードにて懸垂開始。この懸垂下降が曲者でした( ゚Д゚)
最初は高度感ある空中懸垂から、シュルンド内をトラバースしながらの懸垂下降。身体が振られ安定しない!
ひーこら言いつつ、Tさんのサポートを受けなんとか降り立つ。あ~しんど。
少し進むと、第2の懸垂ポイント発見。めっちゃくちゃ汚い残置・・・一切信用できないが、一応チェックをして負荷をかけないように降りた。
なんとか、クレバス地帯は抜けた様子・・・
再度雪渓上に行き、確保しつつクライムダウン。
ここからは、クレバスもかなり減り、目視しつつ渡れる状態。
危険地帯を抜けてからは、ひたすら降りていく。
足はがくがくで、とにかくしんどいが帰るしかない。
18時前に剱沢雪渓に出た。これから、剱沢まで登り( ノД`)シクシク…
満身創痍であるが、帰るしかない。
ヘロヘロになりながら、20時過ぎに幕営地着。 あ~生きてて良かった・・・
テント内に入ると、疲れすぎて横にもなれず、ダンゴムシのように丸まり動けなかった。胃がムカムカして気分が悪い。何も考えれず頭が真っ白。
そんな中・・・Tさんは「さ~カレーカレー。カレー食べよう♪」と言っている。バケモンやわ。私は「もう・・・あかん・・・勝手に作って食べて・・・」
でも少しすると治まり、暖かい飲み物を飲んでいると回復し、結局カレーの匂いにつられ、結局私もカレーを食べた(笑)
その後すぐに就寝したが、胃のむかつきは継続しているし、疲れすぎて気分も高まったままなのであまり寝れなかった。

【7/13】快晴
朝起きると、3日間で一番の快晴。
体調はかなり回復。
本日は帰るだけ。でもあの荷物を背負うんか~と落胆・・・
といっても、絶景の中の帰路であったので、とても気持ちが癒されました。雷鳥の親子にも会えました。
道中沢山の人が行きかう。昨日のアタック中は、ほぼ誰にも会わなかったのでなんだか嘘のよう。休み休み歩を進め、11時過ぎには室堂に到着し、帰阪しました。

いま、こうしてブログを書いていても、実感が湧かないほどの山行でした。
ただ、いえることは、一生の思い出になるな。ということ。
今の私の力を出し切った感じです。
そしてTさんなしでは考えられない山でした。本当に感謝しかないです。


シュルンドへの懸垂下降


56のコルよりABCフェイス


上半縦走