7月の活動報告&黒板装飾①
2025-07-10
【夏休みを目前に】
毎日のように高温注意情報が出され、朝から汗ばむような日が続いています。
そんな中、子どもたちはもうすぐ夏休みを迎えます。外でのびのびと遊んだり、家族と出かけたりすることは、かけがえのない夏の体験になることでしょう。けれど、それすら難しいほどの猛暑日は、涼しい図書館や本屋さんで絵本のなかの夏を見つけて親子一緒に楽しんでみるのもいいかもしれません。
夏といえば、平和について考える機会が増える季節でもあります。終戦記念日や原爆の日など、過去の忘れてはいけない出来事を絵本を通してたどることも、夏の大切な“体験”の一つになるかもしれませんね。
さて、間もなく夏休みが始まろうという7月。今月は、1〜3年生と6年生を対象とした朝の読み聞かせ、そして定例会が行われました。
【校長先生の読み聞かせ】
6年生にとっては、今年度初めての朝読みが行われました。高学年になるにつれて朝読みの回数は減っていくので、その分、一回一回が特別な時間になります。今年も校長先生が読み手として参加してくださることになり、4クラスそれぞれ1回ずつ回られる予定です。
初回の今日は、6年1組での読み聞かせです。その様子をこの場を借りてレポートさせていただきます!
⚠ここから、6年生の児童へのネタバレ厳禁⚠
本日、小久保校長先生が読み聞かせをしてくれるのは、6年1組。担任の先生は、図書担当のS先生です。
実はS先生、今日がお誕生日。黒板にはクラスの児童たちが書いた“HappyBirthday!”の文字とかわいらしいクマのイラストが。朝読みの前にみんなでおめでとうございます!とお祝いしていて、とても和やかな様子でした。そして、ある児童が先生の名前を消して、そこに他の名前を書きます。1組には、児童にも今日お誕生日の人がいて、書き換えられたのはその子の名前でした。再び、教室にお祝いの拍手が鳴り響きます。
朝読みの時間になり、未だ幸せな空気が残る教室に入られた校長先生は、手に大判の紙と、おみくじの木箱(ひっくり返して振るとくじ棒が出るタイプ)を持っていました。
お誕生日を迎えた児童に「おめでとうございます」とにこやかに伝えてから、校長先生は黒板に本の表紙のプリントと、〈おみくじ朝読書〉と書かれた紙を貼り出しました。
校長先生が選んだのは、ひすいこたろう著『人生が変わる朝の言葉』という本でした。
まず校長先生は黒板に“朝”という字を書きます。
「朝には、色々な文字が入っています。わかる人はいますか?」
生徒たちから、「月」「十」「日」「もうひとつ十がある!」と声があがり、朝の下に“十月十日”の言葉が出来上がります。読み方を聞かれ、「じゅうがつとおか?」「それ、僕の誕生日!」と口々に答える児童たち。校長先生が十月十日に、“とつきとおか”とフリガナをふります。
「この言葉は、みんなにも、S先生にも、もちろん私にも関係のある言葉です。意味はわかるかな?」という問いかけに、「人間に関係あるということ?」「なんだろう」と子どもたち。校長先生は、10月10日が誕生日の子に改めて質問されました。その子の「生まれるまでの期間」という答えに、クラス中から感心の声があがりました。「そうです。みんなが生まれる前にお母さんのお腹のなかにいる期間です。朝という字には、この十月十日がはいっていました。私たちは“朝”を迎えるたびに、新しく生まれ変わっています。これから読むのは、そんな朝にまつわる名言とエピソードの書かれた本です。でも、これを1冊読むと3日かかってしまうので……」
校長先生は、〈おみくじ朝読書〉の紙を指さします。そこにはクラスの代表者が引いたおみくじの番号のお話を先生が読むと書かれていました。

ここでおみくじの出番です。「今日お誕生日の彼におみくじを引いてもらおうかな。みんなもそれでいい?」と校長先生が聞くと、「いいよ!」「もちろんいいよー」「引いて引いて」と全員の快諾で、おみくじを引くバースデーボーイ。引いたおみくじは、44番でした。

44番の名言は、平櫛田中が98歳の時に言ったとされる「やってやれないことはない やらずにできることはない」でした。平櫛田中は107歳まで生き文化勲章も受章した彫刻家です。
全員で「やってやれないことはない やらずにできることはない」と声を合わせて言った後、校長先生の読み聞かせがはじまりました。
まずは平櫛田中のエピソードとして、100歳の時600万円を出して直径2mのくすの木を3本買い込み、これを乾燥するのにかかる10年後もまだまだ彫刻を続けるつもりだった話。早起きで午前2時には起きて、本を読み、6時から着物に着替えて朝食をとり、その後、庭での30分間の散歩という朝の過ごし方をしていた話。
そして、著者が2週間で本1冊の原稿を書き上げて欲しいと編集者から依頼を受けたエピソード。急いでも3ヶ月はかかると伝えたところ、その編集者は近々仕事を辞めるが、辞める前にもう一冊、著者と一緒に本を出したいと伝えました。それを聞いてしまっては書かないわけにはいかなくなります。そのとき著者の頭に浮かんだ言葉が、まさに「やってやれないことはない やらずにできることはない」だった−−−さて、この“無茶”なお願いを著者はどのように乗り越えたのか……

以降のお話は割愛しますが、ここまで総じて、実際に1人でこの本を読むよりも、校長先生という人生経験を積まれた大人が読み聞かせてくれるからこそ、生き生きとした人間のユーモアと底力を、一層強く感じられるのかもしれないと感じました。残念ながら、校長先生が予定していた“4. 感想を言う(言える人)”については時間の都合でカットされてしまいましたが、子どもたちそれぞれが今日の“朝の言葉”を箴言として受け取ったことは、目の輝きと表情から充分感じ取ることができました。
このクラスだけの“朝の言葉”をおみくじで選ぶところには縁起の良さすら感じられ、もし1組の児童がほかのクラスの児童に話したとしても、自分のクラスではどんなお話が読まれるかが楽しみになる−−−校長先生の企画力が光る、とても素敵な読み聞かせでした。
>>> ②に続きます。
毎日のように高温注意情報が出され、朝から汗ばむような日が続いています。
そんな中、子どもたちはもうすぐ夏休みを迎えます。外でのびのびと遊んだり、家族と出かけたりすることは、かけがえのない夏の体験になることでしょう。けれど、それすら難しいほどの猛暑日は、涼しい図書館や本屋さんで絵本のなかの夏を見つけて親子一緒に楽しんでみるのもいいかもしれません。
夏といえば、平和について考える機会が増える季節でもあります。終戦記念日や原爆の日など、過去の忘れてはいけない出来事を絵本を通してたどることも、夏の大切な“体験”の一つになるかもしれませんね。
さて、間もなく夏休みが始まろうという7月。今月は、1〜3年生と6年生を対象とした朝の読み聞かせ、そして定例会が行われました。
【校長先生の読み聞かせ】
6年生にとっては、今年度初めての朝読みが行われました。高学年になるにつれて朝読みの回数は減っていくので、その分、一回一回が特別な時間になります。今年も校長先生が読み手として参加してくださることになり、4クラスそれぞれ1回ずつ回られる予定です。
初回の今日は、6年1組での読み聞かせです。その様子をこの場を借りてレポートさせていただきます!
⚠ここから、6年生の児童へのネタバレ厳禁⚠
本日、小久保校長先生が読み聞かせをしてくれるのは、6年1組。担任の先生は、図書担当のS先生です。
実はS先生、今日がお誕生日。黒板にはクラスの児童たちが書いた“HappyBirthday!”の文字とかわいらしいクマのイラストが。朝読みの前にみんなでおめでとうございます!とお祝いしていて、とても和やかな様子でした。そして、ある児童が先生の名前を消して、そこに他の名前を書きます。1組には、児童にも今日お誕生日の人がいて、書き換えられたのはその子の名前でした。再び、教室にお祝いの拍手が鳴り響きます。
朝読みの時間になり、未だ幸せな空気が残る教室に入られた校長先生は、手に大判の紙と、おみくじの木箱(ひっくり返して振るとくじ棒が出るタイプ)を持っていました。
お誕生日を迎えた児童に「おめでとうございます」とにこやかに伝えてから、校長先生は黒板に本の表紙のプリントと、〈おみくじ朝読書〉と書かれた紙を貼り出しました。
校長先生が選んだのは、ひすいこたろう著『人生が変わる朝の言葉』という本でした。
まず校長先生は黒板に“朝”という字を書きます。
「朝には、色々な文字が入っています。わかる人はいますか?」
生徒たちから、「月」「十」「日」「もうひとつ十がある!」と声があがり、朝の下に“十月十日”の言葉が出来上がります。読み方を聞かれ、「じゅうがつとおか?」「それ、僕の誕生日!」と口々に答える児童たち。校長先生が十月十日に、“とつきとおか”とフリガナをふります。
「この言葉は、みんなにも、S先生にも、もちろん私にも関係のある言葉です。意味はわかるかな?」という問いかけに、「人間に関係あるということ?」「なんだろう」と子どもたち。校長先生は、10月10日が誕生日の子に改めて質問されました。その子の「生まれるまでの期間」という答えに、クラス中から感心の声があがりました。「そうです。みんなが生まれる前にお母さんのお腹のなかにいる期間です。朝という字には、この十月十日がはいっていました。私たちは“朝”を迎えるたびに、新しく生まれ変わっています。これから読むのは、そんな朝にまつわる名言とエピソードの書かれた本です。でも、これを1冊読むと3日かかってしまうので……」
校長先生は、〈おみくじ朝読書〉の紙を指さします。そこにはクラスの代表者が引いたおみくじの番号のお話を先生が読むと書かれていました。

ここでおみくじの出番です。「今日お誕生日の彼におみくじを引いてもらおうかな。みんなもそれでいい?」と校長先生が聞くと、「いいよ!」「もちろんいいよー」「引いて引いて」と全員の快諾で、おみくじを引くバースデーボーイ。引いたおみくじは、44番でした。

44番の名言は、平櫛田中が98歳の時に言ったとされる「やってやれないことはない やらずにできることはない」でした。平櫛田中は107歳まで生き文化勲章も受章した彫刻家です。
全員で「やってやれないことはない やらずにできることはない」と声を合わせて言った後、校長先生の読み聞かせがはじまりました。
まずは平櫛田中のエピソードとして、100歳の時600万円を出して直径2mのくすの木を3本買い込み、これを乾燥するのにかかる10年後もまだまだ彫刻を続けるつもりだった話。早起きで午前2時には起きて、本を読み、6時から着物に着替えて朝食をとり、その後、庭での30分間の散歩という朝の過ごし方をしていた話。
そして、著者が2週間で本1冊の原稿を書き上げて欲しいと編集者から依頼を受けたエピソード。急いでも3ヶ月はかかると伝えたところ、その編集者は近々仕事を辞めるが、辞める前にもう一冊、著者と一緒に本を出したいと伝えました。それを聞いてしまっては書かないわけにはいかなくなります。そのとき著者の頭に浮かんだ言葉が、まさに「やってやれないことはない やらずにできることはない」だった−−−さて、この“無茶”なお願いを著者はどのように乗り越えたのか……

以降のお話は割愛しますが、ここまで総じて、実際に1人でこの本を読むよりも、校長先生という人生経験を積まれた大人が読み聞かせてくれるからこそ、生き生きとした人間のユーモアと底力を、一層強く感じられるのかもしれないと感じました。残念ながら、校長先生が予定していた“4. 感想を言う(言える人)”については時間の都合でカットされてしまいましたが、子どもたちそれぞれが今日の“朝の言葉”を箴言として受け取ったことは、目の輝きと表情から充分感じ取ることができました。
このクラスだけの“朝の言葉”をおみくじで選ぶところには縁起の良さすら感じられ、もし1組の児童がほかのクラスの児童に話したとしても、自分のクラスではどんなお話が読まれるかが楽しみになる−−−校長先生の企画力が光る、とても素敵な読み聞かせでした。
>>> ②に続きます。