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胆汁ミセル非結合型分率と食事の負の影響

2020年09月16日
胆汁ミセルに薬物が分配することで薬物のフリー分率(fu)が低下し、膜透過速度が低下することは、in vitroやrat in situ試験などでは以前から良く知られていました。しかし、これまで、この現象が臨床における食事の負の影響と相関するかについては不明でした。今回紹介する論文では、Caco-2における膜透過(Papp)速度の低下からの食事の負の影響の予測について検討しています。

Akiyama, Y., Ito, S., Fujita, T., & Sugano, K. (2020). Prediction of negative food effect induced by bile micelle binding on oral absorption of hydrophilic cationic drugs. European Journal of Pharmaceutical Sciences, 105543.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0928098720303316

食事の負の影響は、主に親水性塩基性薬物で顕著にみられることから、これらをモデル薬物としました。Blank FaSSIF, FaSSIF, FeSSIF(いずれもpH 6.5)にてPappを測定しました。
3級アミンについては食事の負の影響を定量的に予測できることが分かりました。また、単純なPapp比からの予測よりも、一度、胆汁ミセル分配係数(Kbm)に換算した後に理論モデルで計算する方が予測性が高いこともわかりました。一方で、4級アンモニウムについては、予測できませんでした。

胆汁ミセル結合の影響については、これまで、ほとんどの経口吸収モデルの論文で無視されています(なのでFaを予測できない)。しかし、実際にはPeffに大きな影響があります(細胞膜透過律速でも非攪拌層律速でも)。

log Peff = AlogPapp + B (Peff = A'Papp^B')

という式が良く使用されています。しかし、Pappは通常、胆汁ミセル非存在下で測定されますし、ほとんどの場合この検量線もその条件で作成されています。この式を見る限り、胆汁ミセル結合(と非攪拌層)の影響を理解することはできません。そもそも、この式はアロメトリックな経験式ですので、PBPKモデルではありません。しかし、経口吸収モデルで中心的役割を果たすPeffについて、このアロメトリック式を使用しているにも関わらず、PBPKモデルと称している論文が多数見受けられます。この式は、肝クリアランスに例えると、
CLh = aCLint^b
としているような、おかしな式です。
Well stirredモデルでは、
CLh = 1/(1/Q+1/(fupCLint))
ですよね?
Peffも
Peff = 1/(1/Puwl+1/(fuPep))
のような形になります(詳しくは論文参照)。

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最終更新日時:2020年09月16日 17時04分
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