炭酸緩衝液中における薬物の化学安定性

従来、中性pHにおける薬物の化学安定性試験には、リン酸緩衝液などが用いられていました。しかし、生体は炭酸緩衝液です。そこで、エソメプラゾールの安定性について、炭酸緩衝液とリン酸緩衝液とで差があるか？を調べました。

Takasusuki, A., Takayama, T., Inoue, K., & Sugano, K. (2025). Chemical stability of esomeprazole in biorelevant bicarbonate buffer and an exploratory study for specific degradation products. Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis, 117305.
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0731708525006466

エソメプラゾールの分解速度自体には差が無かったのですが、分解物プロファイルは異なっていました。

分解物プロファイルは安全性の評価に重要です。本研究の結果から、中性pHにおける薬物の化学安定性試験には、炭酸緩衝液を用いるべきであると考えられました。

炭酸緩衝液は、溶解性や膜透過性だけでなく、安定性にも影響を与えるという結果は、とても驚きでした。