食事の影響 溶解度-上皮膜透過律速の場合

2025-10-15
薬物の経口吸収性に対する食事の影響は、胆汁ミセルへの分配(溶解)が大きく影響することが知られています。
難水溶性薬物の場合、一般に、食後の胆汁ミセル濃度の上昇により、溶解度は上昇します。しかし、この場合、胆汁ミセルに分配(溶解)した分子状態として溶解しているため、その分子は上皮膜を透過できないと考えられます(フリー体理論)。
実際には、食後投与で経口吸収が上昇する薬物と上昇しない薬物があります。以前から、その理由として、膜透過が非攪拌水層(UWL)律速であるか、あるいは、上皮細胞(EPM)律速であるか、が示唆されてきました。しかし、溶解度上皮細胞律速(SL-E)の事例は、1薬物(pranlukast)のみが知られていました。

今回の論文では、SL-Eとして、pranlukastに加えて、bosentan, fidaxomycin, rifaximinを新たに加えて、検討を行いました。
理論的予測に加え、uFLUXを用いて膜透過fluxに胆汁ミセルが与える影響を検討しました。

Predicting Food Effect On Oral Drug Absorption For Solubility-Epithelial Membrane Permeation-Limited Cases With Bile Micelle Solubilization

https://link.springer.com/article/10.1007/s11095-025-03947-8?utm_source=rct_congratemailt&utm_medium=email&utm_campaign=oa_20251014&utm_content=10.1007%2Fs11095-025-03947-8


これらの薬物では、溶解度が上昇と比較して、fluxの上昇は無いか、あるいは、はるかに少ない、ということが分かりました。
これは、臨床における食事の影響と一致しています。

今回の結果は、薬物の経口吸収に対する食事の影響を理解するために非常に重要です。