ケアプラン3
2025-07-15

前回の続きです。
「私はこれまで、家族のためにと一生懸命会社で働いて、会社の役員にもなれた。しかし、家族のことはほとんど顧みず、仕事人間だった。今回、脳梗塞で左半身麻痺になり動くのも大変になった。妻には迷惑を掛けどうしだったと思う。子供たちも独立してそれぞれの生活があるだろう。妻にこれ以上迷惑はかけたくないので、施設入所も考えた。でも一人で施設に入るのも嫌だし、妻を一人で家に残すのも心配だ。介護サービスで何とか自宅で生活できるなら、そのようにしても良いかと思っている。妻の負担がないようになるなら不本意だが、あきらめるしかないのだろう。これまでゴルフが趣味でゴルフ仲間もいるが、今は会いたくない。病院ではリハビリを続けたが、ゴール設定としてこれ以上は改善しないだろうと言われた。家のローンは済んでいて、経済的には年金で何とかなるかと思う。施設については高額なので自宅で療養するしかないのだろう。」
この利用者の意向を100字程度にまとめることでした。
さて、皆様はまとめられましたか?
この意向には、かなり重要な部分が含まれています。まず、利用者の思いです。施設に入ることも考えたが、妻を一人で家に残すのは心配であること。妻に負担はかけたくないこと。子供たちにはそれぞれの家庭生活があるので、迷惑はかけたくないこと。金銭的に在宅生活を続けるのが最善だろうということ。リハビリテーションをしてもこれ以上は良くならないだろうということ。ゴルフ仲間はいたが、今は会いたくないと思っていること。介護サービスを利用すれば、何とか自宅で生活できるだろうと思っていること。
利用者の意向として、これだけ聞き取れていると、プランは立てやすいと思いますが、意向をまとめるとなると、文章力が必要です。
ケアプランに正解はありません。しかし、最適解はあるのです。この利用者の最適解はどのようなものでしょうか?
一例として、以下に書きますが、これはあくまで最適解であるかどうかは不明です。要は利用者とケアマネジャーに信頼関係があれば、このような文章でも納得してくれるかもしれないということです。
「○○様:これまで仕事一筋だったが、脳梗塞の病気で入院した。リハビリテーションをして自宅にもどり、妻○○や子供たち〇〇に迷惑をかけずに暮らしたい。介護サービスが有効なら利用したい。」
これで90字程度です。
実際に○○は本人の名前を書くほうが良いでしょう。
自分の意向が本当に表されているかどうかは、本人の反応を見て確かめるしかありません。
満足そうな表情であれば、第一関門は突破できたのかもしれません。
プライドのある人物であれば、自分の意向を第三者に勝手に書かれるのは不快に感じるかもしれません。ケアマネジャーは常に謙虚でありたいものです。