シミュレーションで迷子になった?おまけ

2021-10-08
最近、「チ。」という漫画が人気があるのですが、天動説と地動説を例に、「科学とは何か?」が、良く書かれていると思います。
とても面白い漫画なので、ご興味がある方は、是非読んでみてください。

メカニズムモデル(PBPKモデルの)の(ケースバイケースの)パラメータフィッテイングが、サイエンスに与える(ネガティブな)影響には、是非強く警戒してください。一見、パラメータフィッテイングをしていないように見える場合でも、知らない間に行っている場合も多いです。
(例えば、In vitro試験やシミュレーションの条件を、生理学的データに基づいてではなく、血中濃度推移に合わせるために、ケースバイケースで設定している場合。)

その他、出版バイアスの問題(ケーススタディーでは予測性の正しい判断はできない。)や、ブラックボックスモデルの問題など、科学と疑似科学の境界線となる問題が、シミュレーションでは露骨になっています。コンピュータシミュレーションは比較的新しい研究手法であり、科学リテラシーが普及していないようです。

これは自戒を込めてなのですが、本当に警戒しないと、誰でも、この落とし穴にはまってしまいます。
その結果を論文発表してしまうと、正当化するしかなくなります。
特に、ブラックボックスの部分があるモデル(ソフト)の場合、意図的な改ざんなのか?疑われても仕方がないです。

このように書くと、パラメータフィッテイング常用者を「悪人」のようにいうのは良くない、と言われます(実際、そう言われたことがあります)。しかし、そんなことは言っていません。

科学と疑似科学を分けるものは、良心の有無ではなく、正しいか間違っているか?でもなく、科学の方法論(ルール)に従っているか?です。
(というか、科学は「方法論で定義されている」ので。。。)
科学と疑似科学を分ける「線引き問題」は、Evidence based medicineの基礎でもあります。
疑似科学と科学の哲学 | 伊勢田 哲治 |本 | 通販 | Amazon

なお、天動説(プトレマイオスモデル)は、惑星ごとに、ケースバイケースでパラメータフィッテイングしたモデルです。
プトレマイオスも、真剣に、真摯に、宇宙の真理を求めていたと思います。占星術師は真剣に占っています。でもだからと言って、それをサイエンスとは言わないです。