添削はムズカシイ!

2022-05-09
原稿やプレゼン資料の添削を頼まれたとき、「添削は、自分で書くのよりもムズカシイ!」、と思うことありませんか?
また、添削を依頼される方は、内心、「直されるの嫌だな」と、思っていませんか?

このブログをご覧いただけばわかるように、私自身、文章(散文?)が非常に下手です。
素晴らしい文章を読むと、「自分もこんなふうに書けたらいいなぁ~~~」と思います。

しかし、研究者である以上、論文や報告書を書かなければなりません。

私は、論文や報告書は、テクニカルライティングの基本ルールに従って書くようにしています。自分の文章のセンスがないとわかっているので、自己流ではなく、基本ルールに従って書いています。
さらに言うと、テクニカルライティングに個性や魂は必要ない、と考えています。(プレゼンテーションも基本に忠実に行っています。)

また、添削を頼まれた場合にも、自己流ではなく、テクニカルライティングの基本ルールに従って添削しています。

ところが、最近では、添削がうまくいかない場合が多いです。

私は、添削前に、希望される添削のレベルを確認するようにしています。

松:学術誌にアクセプトされるレベル
竹:学生の卒業論文レベル
梅:1-2か所のみ修正
タンポポ:ひたすら褒めるのみ

実際には、ほとんどの方は、「松」を希望されます。
しかし、残念ながら、実際に添削されると、(自分から「松」で頼んだにも関わらず)、非常に不愉快に思われる方が多いです。
なかには、添削を無視して投稿されるかたもおられます。(まあ、それでアクセプトされれば、よいのですが…。)

ほとんどの場合、依頼者は、魂を込めて、文章を書いています。(まさに言霊ですよね?)
添削では、それをある意味否定されるので、不愉快に感じるのだと思います。

ただ、依頼者の方々に、是非ご理解いただきたいのは、添削する側は、すこしでも文章が良くなるようにと思って(あなたのことを思って)、テクニカルライティングの基本ルールに従って添削しているということです。
論文の添削ともなると、丸一日かかることも多い重労働です。その時間を、「あなたのため」に使っているのです。
ぜひ、このことだけは、心にとめておいてください。

このような状況が背景にあるのかどうかわかりませんが、最近の企業では、人間関係を重視して、部下の文章を添削しないようになっているようです。
実際、「部外者である大学の先生に添削をお願いしたい」と、とある企業の方に言われたことがあります。

また、最近では、添削の依頼方法も変わってきました。
まず、「添削をお願いします」「アドバイスをいただけますでしょうか?」というような表現は使われなくなっています。
代わりに、「ご確認をお願いいたします」が多くなっており、現在では、95%程度はこの表現です。

私にとって、「確認」とは、自分では間違いがない(あるいは仕上がっている)と思っている状態のものをチェックする、というイメージです。
「添削」と「確認」では、大きな違いがありますので、このような場合、私は、「確認しました」、とだけ返事しています。
もちろん、先生に提出するぐらいですから、自分では自信をもって「仕上がっている」と思っているでしょうし、だからこそ「確認」という依頼なのでしょう。

さらに、Wordの校正記録を使う場合、添削結果を、何も考えずに、そのまま承認ししている場合が多いように思います。

しかし、それで、文章が上達するでしょうか?
論文、アクセプトされますか?
(私は学生には、あえて印刷物を提出させ、赤ペンで「このあたり推敲して」と指導するようにしています。)

私自身、新入社員のころ、上司に、何十回も、赤ペンで文章を直されました。正直、とても辛かったです。
しかし、今は、そのことに、とても感謝しています。

論文や報告書は、テクニカルライティングだと割り切って、添削してもらいませんか?