ニトロソ抑制のための製剤設計における炭酸緩衝液溶出試験
2025-06-07
製剤研究者にとって、とても興味深いトピックの論文がありましたので、ご紹介したいと思います。
Valapil, R. R., & Polli, J. E. (2025). Impact of antioxidant addition on drug dissolution: Implications for NDSRI mitigation biowaivers. International Journal of Pharmaceutics, 125806.
近年、ニトロソ化合物の生成が、医薬品にとって大きな課題となっています。対策として、酸化防止剤の添加が考えられます。
この論文では、酸化防止剤がジクロフェナクナトリウム製剤の溶出に与える影響を調べています。
溶出試験は、USP simulated intestinal fluid (SIF) (pH = 6.8) と炭酸緩衝液 (pH = 6.5)(落し蓋法)で行われいます。
(自作の落し蓋を使用しているらしく、pHが2時間で0.5程度上がってしまっています。我々の作成してる落とし蓋では、0.1以下に抑えされます。)
本文中では、炭酸とリン酸で、全般には溶出プロファイルが同じ( In general, sodium bicarbonate buffer results were the same as profile comparisons using USF
SIF. )と記載されています。
しかし、実際にデータを見ると、ほとんどの処方において、リン酸中での立ち上がりが、炭酸より遅くなっています(10分での溶出率が1.5から2倍ぐらい違う)。
また、一部の製剤では、非常に大きな差がみられています(formulation B tablets with antioxidant sodium bicarbonate)。
今回、中性pHにおいては溶出性がとても良いジクロフェナクナトリウムを使用しているにも関わらず、このような差が出ていることは大変重要だと思います。
なお、本論文の責任著者は、FDAとも良く仕事をしている著名な方です。
Valapil, R. R., & Polli, J. E. (2025). Impact of antioxidant addition on drug dissolution: Implications for NDSRI mitigation biowaivers. International Journal of Pharmaceutics, 125806.
近年、ニトロソ化合物の生成が、医薬品にとって大きな課題となっています。対策として、酸化防止剤の添加が考えられます。
この論文では、酸化防止剤がジクロフェナクナトリウム製剤の溶出に与える影響を調べています。
溶出試験は、USP simulated intestinal fluid (SIF) (pH = 6.8) と炭酸緩衝液 (pH = 6.5)(落し蓋法)で行われいます。
(自作の落し蓋を使用しているらしく、pHが2時間で0.5程度上がってしまっています。我々の作成してる落とし蓋では、0.1以下に抑えされます。)
本文中では、炭酸とリン酸で、全般には溶出プロファイルが同じ( In general, sodium bicarbonate buffer results were the same as profile comparisons using USF
SIF. )と記載されています。
しかし、実際にデータを見ると、ほとんどの処方において、リン酸中での立ち上がりが、炭酸より遅くなっています(10分での溶出率が1.5から2倍ぐらい違う)。
また、一部の製剤では、非常に大きな差がみられています(formulation B tablets with antioxidant sodium bicarbonate)。
今回、中性pHにおいては溶出性がとても良いジクロフェナクナトリウムを使用しているにも関わらず、このような差が出ていることは大変重要だと思います。
なお、本論文の責任著者は、FDAとも良く仕事をしている著名な方です。