アセスメント4
2025-04-14

前回はAIケアプランについて書きましたが、人間にしかできないことは山ほどあるのです。どんなにAIが進化してもソフトウェアを動かすのは人間ですから、人間以上のことはできません。AIは簡単な質問はするでしょうし、流暢に受け答えもできるでしょう。しかし、流暢な答えは間違っていたり嘘だったりするのです。
これについては、「シン読解力」で新井紀子先生が明らかにしています。この本は子供でも大人でも文章の読解力がないと質問で正しい答えを導き出せないことを明らかにしています。そして生成AIも間違った答えを出すことがあると示しています。新井先生は「東ロボくん」でも有名ですが、ロボットは東大に入れるかを検証しました。実際の試験で有名私立大学には合格できたそうです。新井先生はそうしたAIに読解力があるかを研究して、人間でも読解力がないことに気づいたそうです。
この「シン読解力」は一度読んでおくことをお勧めします。問題がいくつかありますが、自分の読解力がいかに標準と違うか分かります。そんな時間はないと言いますか?ゲームをしたりテレビを見る時間があれば読めます。アセスメントにどんな関係があるのかとお尋ねですか?
実は大いに関係があるのです。契約書はすべて文字で書かれています。その意味を利用者や家族は十分に理解していますか?難解な表現にしていないでしょうか?特に法律の専門家が作ると難解になって意味不明というか一般人に理解できない言葉を多用したりしてしまいます。それを補うのは人間の力が必要です、相手の状況に応じて、理解しているかどうか確認したり、簡明な言葉で補足説明したりすれば良いのです。
ケアマネジメントは、お互いの協力がなければ成立しません。一方的にサービスの調整をすれば良いというものではありません。機械的な作業ではないのです。対象者やその家族の力関係とか、地域の資源とか、サービス提供者の資質とか、多くの要素が関係してくるのです。そして、対象者や家族の状況も変化してゆきます。その時々で最善の選択ができるように援助していく必要があるわけです。
ですから、ケアマネジメントには人間性が問われます。誰でも一人ひとり違うように、個性があります。そのような個性を大切にしてもらうと、その人は喜ぶことでしょう。人間だけが人間性を理解することができます。それこそ、「人間だもの、わかるよね。」ということでしょう。
実際のアセスメント行う前に、知っておいてほしいことを書きました。簡単に言えば「その人の個性を知るようにして、相手に不快な気持ちにならないようにする」ということです。誰でも要介護になりたくてなった人はいません。何らかの原因でなったのです。そのことを悔しがったり、受け入れなかったりしても、それは「その人らしさ」の反映なのです。それで、アセスメントをする場合には、その人が「介護事故」にあった人として、相手の状況に合わせていくことが大切なのです。