アセスメント7

2025-04-17

そろそろ具体的なアセスメントを考えましょう。基本は相手を知るということです。相手を知るには質問する必要があります。その質問の仕方が重要です。認定調査のように一方的に色々聞かれるのはあまり気持ちの良いものではないでしょう。
認定調査項目は後で行政から情報提供できるのですから、まずは家族関係性の確認です。
それには、質問するより家族の表情をしっかりと見るようにしましょう。実は性格とか人間性とかその人の個性は表情、そして衣服に現れるものなのです。
ケアマネジャーは社会福祉の援助技術を知っていると思います。バイステックの7原則ですが、それには意図的な感情表出というものもあります。つまり対象者と面談するときに相手に合わせて感情をコントロールする必要があるのです。対象者によっては、反対にケアマネジャーがどんな人か探ろうとする場合もあります。つまり反対に質問されてしまうわけです。専門家であれば、そんな時にも「すみませんが、今日は私から質問させてください。この後に予定があるのです」とか言って自分の仕事を優先させていくことでしょう。
でも、ここに危険があるのです。つまり、「この人はビジネスライクだな」と烙印を押されてしまう可能性があるのです。ですから、初回は対象者の発言はなるべく妨げないで、気持ちよく言葉の受け渡しができるようにしましょう。まずはラポールの形成です。
対象者に不快な思いを残さないことが初回の最重要課題です。情報はなるべく沢山持ちたい気持ちは分かりますが、ぐっと堪えて次回にしましょう。一度ラポールが形成されて、信頼を得られれば、こちらから聞かなくても、実はこんなことがあって大変だったとか、昔、こんなことがあって楽しい時を過ごせたとか。色々教えてくれるのです。中には無口な人もいるかもしれませんが、そこは質問の質を考えましょう。
できないことを数えられたら、誰でもいい気持にはならないでしょう。こんなことが出来るんですね、そんなこともしてるんですか?と言われればすこし誇らしげになります。質問をした後には、「これはご自身で行っているのですね、大したものだと思います。」と言えば、質問されたことより褒められたことを覚えてくれるでしょう。
色々な質問は必要ですが、対象者は同じ人間です。例え認知症を発症していても、その人生において多くの経験や結果を残して来たはずです。ですから、そのような対象者が大事にしている思い出をどれだけ引き出せるかが勝負の決め手になります。対象者は自分のことですから何でも自分に都合の良いように事実を見ていると思います。家族で同じ経験をしていても、同じ感情で同じ記憶になっているか分かりません。
それで、対象者の言葉はすべて主観的なものです。家族の言葉も客観的かどうか分かりません。ケアマネジャーが推論するしかないのです。多分、こういう事があったんだろうなという事でも良いと思います。
重要なのは事実があったとしても、人それぞれで、その事実が多少自分に都合の良いように記憶されがちだということです。それを踏まえてアセスメントしましょう。