アセスメント17
2025-05-04

さて、睡眠についての大切さは理解できたと思います。
ところで、睡眠不足と不眠症は全く違うことはご存じでしょうか?
睡眠不足は、その名前のとおり睡眠時間が不足している状態です。不眠症は病気です。
睡眠不足はその状態を観れば分かるのですが、自覚していない人がほとんどでしょう。というのは日本人は世界で最も睡眠不足の国民です。成人であれば7~8時間が必要だと言われていますが、ほとんどの成人が6時間ほどしか睡眠を取れていません。これは危機的な状況です。睡眠が不十分だと作業効率は低下します。さらにうっかりミスも多発します。経済損失は何兆円にもなるという試算もあります。このように睡眠時間を確保しないと自分にとっても社会にとっても損失になるということです。このような睡眠不足が自覚がないのが厄介です。
例えば、午睡ですが欧米人は当たり前のようにしている国もあります。最近は先進的な企業で短時間睡眠を就業中に認めているところもあります。つまり午睡をするということはそれだけ睡眠時間が足りていないから起こる現象です。
不眠症は、その原因を追究しないと根本的な改善はできません。これまで学んできたように環境要因や精神状況等が複雑に絡み合っていることが多いのです。特に高齢者の不眠症は本人は不眠を訴えるのですが、脳波測定をすると睡眠できていることがあります。高齢者は中途覚醒してしまうので、睡眠が取れていいない、何度もトイレに行くので寝れていないと思うようです。不眠症は脳波測定して睡眠が取れているか取れていないか確認してもらいましょう。そうしないで安易に医師に眠剤を処方してもらうと眠剤がなければ眠れないと薬剤依存症になるかもしれないのです。眠剤を処方されたとしても、それは限定的に使用すべきもので、漫然と飲み続けるのは疑問が残ります。薬は一時的に使用するものであることを理解しましょう。慢性疾患だから一生飲み続けなければならないというのは一種の詐欺です。
プラセボ効果を知っていますか?例えば、何の効果もない薬に似せた錠剤を、被験者に「これはとっても良く効く薬です」と言って医師から渡されると、被験者はその気持ちになって「とても良く効きました」と答えるのです。眠剤もそのような効果があると思われます。ですから、根本原因を見極めないと意味のない処方を繰り返すことになります。
ケアマネジャーは環境要因をしっかりアセスメントしましょう。環境だけでなく対象者の精神状況もアセスメントしましょう。心配症の人は「眠れなかったらどうしよう」と眠る前から心配します。眠れなくても身体は休めることができますし、眠れなくても明日眠れれば良いかと楽観的になれば良いのです。
ある人は就寝前に眠る前の儀式をします。「今日も色々あったけど、こうして寝室で眠れるのは何て幸運なんだろう」と言うそうです。こんなポジティブに考えればよく寝れそうですね。