アセスメント18

2025-05-05

食事、睡眠の次は運動です。
人間は動物の一種です。植物ではないので動くことで食料を確保します。農業を行うことが地域には必要です。かつては自給自足が当たり前でしたが、現在は分業化され、農業人口は減少しているようです。いずれにしても何の活動もせずに食料を確保することはできないので、何らかの活動が必要です。
もし、全く動けない状態になったらどうなりますか?いわゆる寝たきりですが、呼吸は必要です。呼吸ができないと人工呼吸器が必要になります。口腔機能はどうでしょうか?もし嚥下が困難なら経管栄養が必要になります。手は動きますか?麻痺があれば健側の手は動くでしょうか?足は動きますか?足が動かなければ電動車いすや移乗用の福祉機器が必要でしょう。
このように、ケアマネジャーは対象者の運動機能を評価してゆく必要があります。医師の医療情報提供書に詳しい情報はありません。麻痺の程度がどのくらいかは分かりますが、それで箸を持てるのか?食器は持てるのか?利き腕はどちらか?記入されていない場合もあります。ですから、ケアマネジャーは実際の食事場面、移動場面、リハビリテーション場面でアセスメントする必要があるのです。
対象者のADLは実際の活動で調べることが一番確実なのです。食事するときに時間を要しているのは嚥下機能の低下なのか、食材の形態のせいなのか、味付けなのか、偏食なのか、視覚情報や味覚情報や嗅覚情報の不足なのか、実際に手の動きが不十分なのか、こうした情報はその場面を見ないと判らないかもしれません。
ADLにしてもICFによって個人の状態を数値化しようとしましたが、現在活用されていますか?多分ほとんどの病院でも活用していないと思います。何故なら項目が多すぎて何が重要か分からなくなるからです。現在医療関係者はバーセルインデックスを使用することの方が多いでしょう。介護保険のLIFEでも使用しているのは、その方が簡便で慣れているということもあるのでしょう。
人間の状態を知るということは、細かくすれば分かるわけではありません。確かにICFはADLが本人だけではなく、個人因子と環境因子が関係していることを明確にしてくれたことは評価します。しかし、項目を細分化したために個人の状態が不明確になってしまったのです。個人因子をもっとはっきりと示さないとADLとの関係が分からなくなってしまったのではないかと思います。
それで、ケアマネジャーは外面的な動作の確認よりも、内面的、個人因子によってADLが変化することを認めましょう。
つまり、外出しない高齢者も孫の結婚式には参加したいという個人因子です。このような対象者の内面的な意欲を見つければ、ADLが改善する可能性があるということです。
人は命令を嫌がりますが、自分で決めたことはするものです。