アセスメント19
2025-05-12

ADLの確認は色々な場面でできます。当然訪問しているわけですから、その時々で状態の変化も見ることができます。書類上でのADLはある程度状態がわかりますが、細かい点は分からないと思います。それで、色々な場面での確認が必要になるのです。
ICFの活用は個人因子と環境因子が関わっていることが示されています。ですからADLもその個人の意欲や環境によって左右されることが分かります。病院のリハビリルームで歩けることができたとしても、家ではどうでしょうか?段差や滑りやすい床では歩行が難しくなるかもしれません。反対に慣れた環境であれば、手すりや歩行補助用具がなくても歩けるかもしれません。本人が慣れ親しんだ環境であれば、家具やテーブルを手すり代わりにして移動ができるかもしれません。仏壇や神棚の前であればしっかり動けるかもしれません。
このように、本人のADLは個人の思いや場所によって左右されるのです。調理はどうですか?料理好きの対象者であれば、食器や味付けに思い入れがあったりします。食器は記念の品だったり、味付けは薄味や濃い目だったりします。そのように対象者は皆家での活動が違ったりするのです。
ある対象者は書道や茶道の先生かもしれません。認知症の症状があったとしても、その道で何年も行ってきたことは忘れません。手が震えて箸も持てなくても筆なら持てたりするのです。食器を落としたりしても茶器は落とさなかったりするのです。
それで、ADLは脳からの信号で筋肉が収縮して動くわけですから、動きが不十分な状態になっているのは何が原因か確かめる必要があります。脳神経によるものですか?筋肉によるものですか?意欲低下によるものですか?
こうした原因も複合している場合もあります。人間が動くということは脳内の神経伝達物質、脳神経、脊髄神経、筋肉、骨格等の色々な要素が関係しています。
ある研究によると脳神経の信号が伝達する前に筋肉が動くことが報告されています。これは動作をしようとする前に無意識の状態なのに筋肉が動くということになります。それで手で何かを持とうとする前に、無意識の状態で筋肉が動き出していることになります。
まだ、研究段階ではありますが、我々が動くということは無意識で行っていることが多いのかもしれません。歩くことにしても右足を出して左足を出してと、毎回脳が信号を出しているわけではなく、無意識下で脳が休んでいる状態で運動していることになります。
ほとんどの運動は無意識下で行われているのかもしれません。これまでに何度も行ってきた運動を無意識に行っているようです。体操の選手も何度も何度も同じ運動を繰り返すことで、脳が命令しなくても勝手に筋肉が動いて素晴らしい技を見せてくれます。
それで、ADLは慣れ親しんだ運動を続けることが、生きるための活動に繋がるのです。
食べることも運動の一つです。でもよく噛むことが必要です。そうしないとせっかくの栄養が吸収できません。生きるために嚥下機能はとても大切な行為です。