アセスメント20
2025-05-13

嚥下機能について詳しくアセスメントしましょう。
嚥下するには多くの段階が正しく機能しないとできない行為です。
まずは、視覚ですが、対象物が食べ物かどうか確認できないと口に入れようとしないでしょう。ですから視覚機能もしっかり働いていないといけないことになります。人類は食べ物を探すことに必死だった過去があります。食べ物を認識できない赤ちゃんは何でも口に入れてしまいます。だんだん食べ物が認識できれば、食べ物以外は口に入れなくなります。
それは、食べ物がどんなものなのか、飲みこめるものなのか、咀嚼すれば飲み込めるものなのか、味はどうか、硬さはどうか、においはどうか、このような経験を積んで学習するのです。成人であれば食べ物の認識は一瞬でできるでしょうが、認知症になると食べ物かどうか認識ができなくなる場合もあります。
口腔内はとても繊細な神経が集まっています。変な物が体内に入らないように多くの感覚器官があります。人間の歯の状態によって咀嚼が十分にできないと消化が難しくなります。
歯が欠損していると脳の細胞が減少するという研究結果もあります。ですから、歯が失われていたら義歯を使用することが必要です。義歯は歯科技工士の腕によって大きく変わります。よく義歯が合わないので使っていない対象者がいますが、良い歯科医によって調整してもらうことが必要でしょう。インプラントをしているかもしれませんが、これは保険が効かないので高額になりますし、寿命もあります。慎重にすすめたほうが良いでしょう。
口腔内では舌の動きも大切です。麻痺のある方は舌の動きも制限されていることがあります。舌が動かないと口腔内で咀嚼が十分にできなくなるのです。場合によっては嚥下機能の評価が必要になり、食形態も変える必要があります。安易にソフト食やきざみ食にするのはあまり関心しません。咀嚼することで唾液が十分に出て食塊を形成できるからです。よく一口30回咀嚼することが言われますが、理に適っています。咀嚼すると唾液腺からアミラーゼが分泌されて糖の分解をしてくれます。ラクトフェリンは細菌の増殖を防いでくれます。IgAはウイルスや細菌の侵入を防いでくれます。そして水分が食材を柔らかくして飲み込みやすい食塊にまとめてくれます。高齢になると唾液腺の分泌も低下しますので、唾液腺の分泌を促すマッサージが必要になるかもしれません。
高齢者に多いのが誤嚥性肺炎ですが、誤嚥の原因を探ることも必要になるかもしれません。最近は歯科医師が訪問診療でも嚥下内視鏡検査(VE検査)をすることもあります。嚥下の状態を視覚的に理解できるので嚥下訓練を行うこともできるでしょう。また、歯科医師以外にも管理栄養士や言語聴覚士も嚥下に関して多くの知見を持っているかもしれません。
食事のポジショニングも大切です。頭をやや下向きにすると誤嚥をふせげるかもしれません。食事に介助を必要としている対象者には、介助者のポジションも重要です。目の位置を同じようにしていれば圧迫感を低減することができます。
嚥下では、準備運動で関連する筋肉をほぐすことも大切ですね。