アセスメント26
2025-06-04

人間は動物ですから動かないと本来の生き方ができません。
寝たきりという言葉がありますが、実は寝かせ切りです。介護する立場から見ると寝たきりにしておけば介助が楽になると思っているのです。でもそれは間違いです。寝たままでいることがどれほど苦痛か、自分で試してみてください。寝返りもできないと床ずれを発症するでしょう。2週間も寝かせ切りにしておくと筋肉は半分になるという報告もあります。ですから、寝かせ切りは絶対に避けなければならないのです。
まずはファーラー位でも良いので頭を起こしましょう。天井しか見られなかった状態から周囲が見られるようになります。それだけでも身体の筋肉が動きます。筋肉が動けば血行も改善されます。血行が良くなれば内臓や頭脳の機能も回復してゆきます。内臓や頭脳の機能が改善されないと動くことはできなくなるのです。
周囲が見られるように頭が上がれば、色々な風景が見えてきます。部屋の中でも窓があれば日の光を感じるかもしれません。部屋に花が活けてあるかもしれません。なじみの道具やカレンダーが見えるかもしれません。
そのように頭を起こすだけでも様々な情報が脳に伝わります。そして脳は自分の慣れ親しんだ環境を思い起こすことでしょう。テレビやラジオの映像や音楽が聞こえるかもしれません。これらが脳を刺激するのです。
脳はさぼる傾向があります。脳の刺激が少なければ活動を休止してしまうのです。そうすると脳のネットワークが動かなくなります。そうすると脳機能低下となり認知機能低下になってしまうのです。寝たきりになると認知症を発症してしまうのです。
ですから、寝かせ切りは絶対にしてはいけないことになるのです。
座位がとれれば車いすに移乗しましょう。ベッドからの風景と車いすからの風景では情報量が圧倒的に違ってきます。車いすに移乗できれば移動ができるので、屋内だけでなく屋外に出ることもできるでしょう。屋外には脳を刺激する沢山の風景があります。できれば自然に触れられるような公園とか、今まで自分が通っていた店に行ったりとかできるかもしれません。
ケアマネジャーはこうした活動範囲を増やすことを目標にするのはどうでしょうか?
ベッドから車いす、車いすで屋内、車いすで屋外、車いすで旅行とか、活動範囲が広がれば、対象者の気持ちも前向きになります。対象者の身体機能を確実に把握してどこまで出来るのかアセスメントするのです。どこまでできるか対象者の心身状況にもよりますが、人は快適なことを望むようになっています。反対に不快なことは望まないのです。それで、対象者が好きなことが何かアセスメントする必要があります。競馬が好きですか?買い物が好きですか?旅行が好きですか?喫茶店が好きですか?カラオケが好きですか?麻雀が好きですか?
好きなことを知れば、そのことができる場所を考えれば良いのです。