アセスメント27

2025-06-08

人間は一本の管と考えることができます。かなり人間と違うように思うかもしれませんが、ミミズを考えてみましょう。ミミズはそれこそ一本の管です。口から土を入れて管の中で必要な栄養素を体内に入れます。そして不要なものは糞として体から出します。脳もなければ、肺もありません。それでも土にある栄養素を管から出る酵素を利用して分解し合成して運動エネルギーを得るようにしています。何と優れた管でしょうか?
人間も基本的にはミミズのように口から食物を入れて胃で分解し腸で消化して血液を通して必要な栄養が体の各部に届けられます。エネルギーがなければ動物は動くことができません。エネルギーを生み出すのは食物からしか得られないのです。
口腔機能が低下して嚥下が難しくなると、経鼻栄養や胃ろう増設で栄養を入れるようになりますが、本来の食事の仕方とは大いに違うのです。
なぜ、口に歯があるのか?歯の必要は食物を細かく砕くことです。その時に食物の分解酵素が働いて栄養を取り込みやすくなるのです。歯があるので、その咀嚼することには大きな意味があります。牛は草を食べますが、胃が4つもあって何度も反芻します。噛んでは胃に送り胃から口に戻してまた噛むのです。何度も繰り返して草のセルロースも分解して栄養にするのです。多くの動物に歯がありますが、それは必然的な機能を持っているのです。8020運動は歯の欠損が病気を引き起こす原因にもなるので、歯を大切にしようというものです。
対象者の歯の状態をアセスメントしましょう。自分の歯はありますか?義歯はどうしていますか?何回噛んでいますか?嚥下は問題ないですか?口腔内は清潔ですか?食の偏りはないですか?
自分でできない分野は歯科医師や歯科衛生士、言語聴覚士等に確認してもらいましょう。口腔内が健康であれば、多くの病気を抱える危険が軽減します。高齢者の死因で高いのが肺炎ですが、口腔内が清潔であれば防げる可能性があります。最近はドライマウスも問題になっています。口を開いた状態が長時間続くと、口腔内が乾燥します。口腔内の乾燥は好ましいものではないのです。口から雑菌やウイルスが入り込み易くなります。口は閉じて鼻呼吸をしていれば、鼻に備わった自然のマスクである鼻腔で雑菌やウイルスを防いでくれます。鼻水やくしゃみ等で不要な物質を排除してくれるのです。口のなかは唾液が常に分泌しています。口の乾燥を防ぐためです。唾液は1日に1Lも分泌するそうです。唾液自体は自分が作り出したもので清潔です。しかし、口腔内に糖分とか食物残差があるとミュータンス菌とかが増殖して虫歯の原因になります。歯周病もこうした菌の影響で歯茎が炎症を起こすのです。そのままにしていると歯が抜けてしまいます。
咀嚼機能はとても大切です。咀嚼には顎関節が関係していますが、これが正常な位置にないと口を開けれなかったり、めまい、頭痛、背骨のゆがみ、腰痛にまで影響が及びます。
顎関節については口腔外科の医師に相談してみましょう。