アセスメント30

2025-06-12

視覚の次は聴覚についてです。高齢になると耳が遠くなるのはよくあることです。特に聴覚についてあまり気にしない方が多いのが問題です。確かにあまり聞こえなくても日常生活にあまり影響はないと考えがちですが、それは誤りです。
視覚からの情報が7割ほどと言われていますが、聴覚もそれに近いくらい情報の収集が困難になります。
例えば、信号機ですが、視覚障がい者のために音が左右から聞こえるようにしていますが、聴覚障がい者のためには色と時間表示で確かめるしかないのです。もし、色弱であると色の判別が難しくなります。赤、黄、青の表示が左から右に流れるようになっていますが、場所によっては点滅信号になったりするのです。夜間は特に音がでないようにしていますから、視覚と聴覚の障がいがあると信号機の情報を得ることが難しくなります。
コミュニケーションはほとんどが聴覚で行います。言葉の重要性はケアマネジャーなら良く理解していることでしょう。難しい制度の説明を文字だけで理解するのは、高齢者には酷なことです。易しい言葉で理解しているか確認しながら話をするはずです。この言葉を聞き取れないと筆談をしなければならなくなります。筆談用のホワイトボードやメモ用紙を持参しないといけないことになります。
聴覚障がいも程度がありますが、聴覚障害手帳を取得しているでしょうか?2級から6級までの4段階に分かれています。最も高度の障がいは2級です。この場合は全く聞こえないと思って良いと思います。軽度の聴覚障がいであれば補聴器を使用することをお勧めできるでしょう。補聴器は試用の貸し出しもできます。簡単な集音器を使えるかもしれません。
骨伝導補聴器は外耳から中耳にかけて障がいがある伝音難聴の方であれば利用できます。
加齢性難聴つまり感音難聴ですが、これは内耳に問題があるので骨伝導補聴器は使えないでしょう。高齢者の多くは感音難聴ですから、専門の耳鼻科医にかかり検査をしてもらうことが勧められます。そして耳鼻科医から補聴器の提案を受けると良いでしょう。
障害者手帳を取得していれば、補聴器購入の助成を受けられる可能性もあります。
言語でのコミュニケーションを迅速に行うには、視覚障害がなければスマートホンの音声認識アプリを使うことが有効です。自分の声をかなり正確に認識して、文字起こしをしてくれます。なるべく活舌を良くして、短い文章にして話してみてください。メールをする場合でも、ちょっとしたメモを残すのにも活用できます。これに慣れると、一般の対象者に対しても、会話をすべて音声アプリに記憶することもできるでしょう。AIを使えば、その会話を要約することもできます。何人かの発言も音声を認識して、誰の発言かも分かるようにしてくれます。介護記録も、これで要約されたテキストをコピーすれば良いことになります。福祉機器の進歩はこれからも加速してゆくことでしょう。ケアマネジャーはこうした機器も有効活用して、対象者を良く理解することができるようになると思います。
難聴者であっても適切なアセスメントをしてゆきましょう。