アセスメント32

2025-06-24

認知症の方のアセスメントはかなり難しいと思います。通常の会話ではコミュニケーションが図れません。なにしろ話した内容を忘れてしまうので、どのように話を続ければ良いのか判断しにくいからです。
それでもケアマネジャーはコミュニケーションをとる必要があります。本人の意向を知る
必要があるからです。最重度の認知症になると会話もできなくなりますが、軽度、中度程度であれば会話は可能です。会話は言語だけで行うものでもありません。言語以外の表情、身振り、手振り等から会話は成り立っているのです。
ある研究ではコミュニケーションのなかで言語の果たす割合は7%で、聴覚情報が38%、視覚情報が55%と言われています。つまり一番の情報は視覚からで、2番目が聴覚、3番目が言語となります。
つまり、ケアマネジャーの姿から情報を得ることが多いということです。それで、身なりを整えておく必要があります。まずは清潔感のある服装にするほうが良いでしょう。おしゃれをする必要はありません。かえって華美な服装は怪しまれる可能性があります。男性であればスーツが好ましいとは思いますが、きちっとし過ぎは警戒されるかもしれません。女性であればパンツスタイルのほうが良いでしょう。スカートだと動きにくくなるかもしれないからです。いずれにしても飾らない服装で良いと思います。
次に聴覚情報ですから、話し方に気を付ける必要があります。早口になってしまう可能性が大いにありますが、対象者は聞き取りにくく感じるでしょう。早口は母音がはっきりしなくなるので冷たい感じを与えてしまいます。すこし母音を伸ばすくらいの気持ちで話すと暖かく感じられます。難聴の対象者もいますから、以前のブログを参考にしてください。
最後に言語情報ですが、言葉の選び方が関係してきます。対象者に理解してもらえる簡易な言葉を選びましょう。難解な専門用語は対象者の前では禁句です。「ADL」は「生活での動き」とか、「アセスメント」は「状態の確認」とか言い換えてみましょう。言葉の言い換えはとても重要です。「担当者会議」と言われると対象者は緊張してしまうでしょう。
「担当者会議」は「みんなで○○さんの援助を考える集まり」と言い換えれば緊張することもなく受け入れてくれるかもしれません。
認知症の方へのコミュニケーションは一人ひとり違うものと認識しましょう。本人が使い慣れて良く使う言葉を覚えて、その言葉を使うようにすればコミュニケーションは良好になっていくと思います。
認知症の家族に対しては、ケアマネジャーがそのように有効な言語を用いてコミュニケーションを図っているのを見て、自分もそのように話してみようと思うかもしれません。認知症の方はだいたい孤独感を抱えています。記憶が不確かなので、自信もなくなっているかもしれません。それで、認知症の方と良い関係が築ければ、その後のプラン作成に本人の意向を反映することができるでしょう。