モニタリング5

2025-09-04

介護保険は長期に渡る支援を前提としています。しかし癌患者の場合は全く違います。癌はその人によっても、癌の種類によっても違いますが、進行が速い場合は早急に対応する必要があります。
特に病院で治療をしていたが、自宅で最期を迎えたいと思っている対象者の場合は、その気持ちに寄り添うことが肝心です。アセスメントも手早く行う必要がありますし、退院カンファレンスに呼ばれることもあります。癌患者の状態も千差万別です。一人として同じ経過をたどることはありません。アセスメントからフル回転でケアマネジメントをしてゆく必要があります。
実際に、在宅に向けて退院調整をして在宅サービスも用意しても、退院前に亡くなる患者もいます。自宅に戻っても、不安を感じて病院に戻りたいと言うこともあります。家族がいても家族が介護を頑張れるのも限界があります。癌患者の場合は医療保険でのサービスになるので、連携しにくく感じるかもしれません。例え医療保険であってもカンファレンスに訪問看護師や訪問診療医と連携することは必要です。ヘルパーを利用したり、福祉用具を利用する場合もあるでしょう。癌患者の場合は体調の急変も起こるものです。その時に慌てないように、緊急時の連絡先を決めて、どの順番に連絡するかも決めておくことが大切です。
看取りを経験している医師とか看護師とか薬剤師とか、知り合いがいれば多くの情報を事前に聞いておくことも重要です。癌患者の推移は経験を積んだ医師であれば、ある程度予測ができます。看取りに向けて、必要な情報を本人・家族に伝えることができるでしょう。
本人にとっても家族にとっても未知の経験なので、どうすれば良いのかパニックになっている場合もあります。そのような時に経験の豊富な看護師であれば、上手に情報を伝えることができるでしょう。
ケアマネジャーとしては、事前情報として癌の部位やステージや転移とか知っておくことも必要です。ACPの会議に参加することもあると思います。ACPについては各地で研修会もあるでしょうから、積極的に参加して病状の変化にどのように対応するか知ることができるでしょう。
誰でも死を身近に感じると、精神が混乱します。対象者もその家族も同様です。混乱した状態では冷静な判断もできなくなります。ケアマネジャーは対象者が冷静な判断で話しているのか?家族も混乱していないか?良く見極める必要があるのです。
あるケアマネジャーは看取りの後で弔意の訪問したところ、遺族から本当に穏やかに最期を迎えられて良かったと感謝されたそうです。家族はケアマネジャーがどれ程寄り添ってくれたかを見ています。
誰でもいつかは死を迎えます。残された遺族が「穏やかな死だった」と感じてもらえれば、ケアマネジャーの仕事のやりがいもあります。そんなモニタリングもあるのです。