モニタリング11
2025-09-17

モニタリングを続けていると、対象者の状況がだんだん明確になってきます。初回の面接から何度も対象者と会っていれば、おのずとその性格も明らかになりますし、趣味や趣向も解ってきます。
モニタリングは再アセスメントの機会でもありますから、対象者のニーズがどこにあるかも明らかになってくるでしょう。
例えばですが、ペットを何匹も飼っている独居の高齢者がいます。認知機能が低下していて、本人の健康状態が危ぶまれています。それでも本人は自分のことよりペットを大切にしていたりするのです。自分の食事はおろそかにしてもペットの餌は必ず用意していたりするのです。訪問介護ではペットのお世話はできません。ペットの餌を買うのもできないと思います。もし、ペットの世話を依頼されたら断るか、自費でヘルパー契約をすることになるでしょう。金銭的に難しければボランティアを探す必要があるかもしれません。本人はペットのお世話をするのが生きがいにしているのですから、ペットから離れようとはしないでしょう。ですから、デイサービスもショートステイも拒否するでしょう。
誰でも自分が一番大切にしているものがあります。普通は健康状態を良くすることが一番に来るのでしょうが、高齢独居の対象者は全く違います。自分のことより、子供の心配をしていたりするのです。
ケアマネジャーはこうした事実を受け止めないといけないでしょう。教科書的に言えば、生存欲求が一番にくるのでしょうけど、事実は自分の命より子供の命が大切であるとはっきり言う高齢者もいるのです。
事実は事実として受け止めて、次善のプランを考えないといけないかもしれません。人それぞれで思考は違います。ガン末期の利用者は、病院での治療を拒否して家に帰ると言うことがあります。きっと家に居ることが本人にとって一番良い治療だと考えているのかもしれません。そのような対象者に、では家に帰る準備をしましょうと言ってもらえたら、とても喜ぶはずです。慣れ親しんだ家がどんな状態であっても、本人は一番落ち着くのでしょう。
ある利用者は、家の中にゴミが堆積していて、玄関から入ることもできない状況でした。それでも本人は家に帰ると主張します。この場合は優秀な訪問診療医と訪問看護師がいれば解決できるかもしれません。費用の問題も解決しなければならないでしょうし、優秀なヘルパーも必要です。住宅の清掃業者も事前に片づけを依頼しないといけないでしょう。福祉用具や医療機器も必要かもしれません。訪問薬剤師も訪問リハビリや訪問マッサージも必要かもしれません。いずれにしても、多職種が連携して、本人の希望を叶えるように努力してもらわないといけないのです。そのようなケアチームをまとめるのがケアマネジャーです。本人の希望を叶える計画を立てるのがケアプランです。
何が起きても、あわてずに対応するのもモニタリングです。